ドリンク、それともゆるキャラグッズ? あなたの元気の素は…
ブランド品じゃなかったの
「かわいい! これ、会社に持っていくね」。妻の誕生日に奮発してブランド物のかばんを贈ったが、どういうわけか、そっちではなく、ついでにあげた「ゆるキャラ」グッズに激しく反応されて戸惑った。
「バリィさん」の弁当袋、「くまモン」のティッシュカバー、「ふなっしー」の付箋やメモ帳……。合計しても数千円なのにブランド品に負けない魅力があったしい。
彼女いわく「こういうのがあると、なんだか元気になれる」。職場で同僚に伝言を残す時に、さりげなくかわいらしいメモを使う。男性はもらっても何も感じないかもしれないが、女性の場合、人によっては「あの人も似た物を持ってるのか」とか、「こっちの方がかわいい」とか火花が散ることさえあるという。
いい年をしてばかばかしいとも思うが、余計なことは言わない。毎日仕事に家事に頑張り、疲れをため込んでいる妻を瞬時に癒やす小物は、本当にありがたい存在だ。僕の職場でも机に小物を置いたり、きれいな文房具を使ったりする女性がいるが、なんでそんな物で元気になれるのか。缶コーヒーを飲みながら考えるが、僕にはさっぱりわからない大きなナゾだ。
飲んだのは成分より気分
「タフマン、2本!」
まだ入社して間もないころのこと。職場に飲料を売りに来た女性に、普段は渋く無口な先輩男性が突然言った。締め切りを幾つも抱えていたようで、見ればすでに卓上に栄養ドリンクの空き瓶が3、4本あった。
その後、周囲を見れば、「風邪気味だ」「飲み過ぎた」といってドリンクを手にする男性の多いこと。聞けば、体力が回復すると口をそろえる。1000円を超える高級品などは見た目も立派だし、成分もいろいろ書いてある。栄養がつまっていて、いかにも疲れがとれそうだ。
でも本当にその成分で元気になれるの、という思いもある。中身をすり替えて飲ませても、彼らは元気になるような気がする。飲んだから徹夜ができる、というちょっとした自己暗示であり、ドリンク片手に頑張る自分に気分が高まっているということではないの?
そう思えば女性が菓子やかわいい小物でパワーをもらうのも同じ。自分の集中力ややる気を高めるツボをうまく刺激して、仕事の効率を高めている。いい仕事を早くやらせたいなら「また食べてるの」なんて言わないでくださいね。先輩。
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