女だからダメって言われても…駅のホームで食べますか？

仕事帰りに一杯やって、いい気分で電車に揺られていた時のこと。途中駅でドアが開いた瞬間、ホームの若い女性と目が合い、酔いは一気に冷めた。彼女が口をぽっかりと開け、菓子パンにぱくつくところだったからだ。おいおい、どうしたって言うんだい。

時計の針は22時をとうに回っていた。仕事に追われ、食いっぱぐれるのは会社員によくあること。とはいえ、公衆の面前である駅のホームで、というのはいかがなものか。

ホームでぱくつくぐらいなら、駅の構内にもあるファストフード店で済ませればいいだろう。立ち食いそばをささっとすする手もある。それが場をわきまえるということだと思うな。

近ごろは女も男も電車内で食事をする人が珍しくない。女性が化粧する姿にも本当にがっかりさせられるが、いちいち目くじらたてていては疲れてしまうし、もはや僕の感覚が古いということなのかもしれない。でも、やっぱり言いたい。

君は電車を待つ時間を惜しむほど仕事が忙しいのかもしれないが、ふさわしい場というものはある。そこで甘えてしまっていいのかい。開いた口がふさがらないのは、こっちの方だよ。

腹ぺこの昼下がり、駅のホームのベンチに座り、おにぎりを取り出す。「やっと昼ご飯にありつけた」とほおばると、方々から冷たい視線。いつものことだけど、食べたらだめですか。

男性の先輩に尋ねると「品がなくみえる。男子学生とかだと目に入らないんだけどね」だって。女性が人目を気にせず、がつがつ食べる姿が受け入れがたいと、身勝手なことをいう。

女だって会社勤めをしていれば優雅にランチをする暇などない。まして外回りの仕事では、予定がつまって移動の合間に食べるしかない日はしょっちゅうだ。

だいたい手軽な昼食はたいてい男性仕様。「ファストフードですませろ」と言われても、高カロリーなものが多く、体重を気にする女性向きではない。立ち食いそばはヒールの高い靴だと食べにくいし、男性に比べて大きなバッグの置き場に困る。となると、やはり足は駅のベンチに向く。売店はおにぎりもサンドイッチも売っているし……。

もちろん、におわない食べ物を選んでいるし、電車では食べない。「みっともない」とまゆをひそめるのは自由ですが、男性だったら気にならないんでしょ？