人ごとではいられない? 人事の季節がやってきた
若手に見切りをつけられたってこと
持論は「人事は人ごとにあらず」。入社2年目に初めて転勤を言い渡された時の教訓がもとにある。仕事のイロハもよく理解していない駆け出しの時代、人事異動はまさに未知なるシロモノだった。僕の転勤話は先輩はみな織り込み済み。にもかかわらず、内示の前日「僕はどうなりますか」と尋ねても、笑顔で「明日わかるよ」とかわされた。
要は自分で探り備えろ、ということなのだ。様々なポストについた先輩たちが、その後どんな部署を歩んだか。それを探れば自分の目指すべき将来像も見える。年功序列が崩れたとはいえ、なおそんな部分は残る。情報収集に目の色変えるワケもそこにある。
もちろんそこまでしなくても、と白い目で見る向きもある。だが、最近の若手や女性社員を見ると、あまりにも人事に淡泊すぎるんじゃないか。
いや、待てよ。次のステップは社内ではない? 僕も会社も、見切りをつけられたってことなのかなぁ。
未踏の60代 それで生き残れますか
男たちがそわそわし出した。春の人事をめぐり彼らにとって重要な情報収集活動が始まったようだ。あのポストは誰が取るか。自分はどう動くべきか。でも、ちょこまか動き回る姿が年々不思議に見えてくるのはなぜだろう。
私が入社した1980年代は、大半の女性が人事の蚊帳の外にいた。女性総合職が現れた後も、男の出世パターンはあまり当てはまらない。だから女たちは人事に淡泊なのだろう。
代わりに求めたのはロールモデル。社外も含め女同士で結束を固め、働き方の手本を見いだそうとした。今ではロールモデルという言葉は女性誌でも飛び交う。女性の成功者が登壇するセミナーは大盛況だ。単なる出世ではなく、生き方を様々な世界の先輩の姿に見つけだそうとしている。
だから不思議なのだ。女が変わり会社も変わった。働く期間は60代まで延びる。同世代は男女を問わず、未踏の会社生活に足を踏み入れつつある。そんな時代に旧態依然とした出世パターンを追ってどうするの?
実は今、20~30代の男たちもロールモデルを求めているとか。彼らは気づいているみたいよ。
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