「いい娘ね」って本当? 母と彼女と板挟みの僕
遠回しの探り 何が不満?
また母からメールが来た。「先週の旅行楽しかったわ」と、当初は何気ない話題。読み進めると「A子さん元気? 最近会ってないから心配」と、妻を気にかける言葉があった。しかも絵文字付きとは驚いた。
ははーん、本題はこっちか。例によって僕たち夫婦に探りを入れたいらしい。全く何が目的なんだか。
学生時代から似たようなことはあった。デートに行く前に「なんだか髪形かっこいいわね」と珍しいことをいう。彼女について詳しく聞いてはこないが、気にしている様子がありあり。実に居心地が悪かった。
彼女を家に連れてきたときも「すごくいい子ね」とニッコリ笑った後に、何か言いたげな視線。「不満なのか」と心配したものだ。
僕のやることを常に後押ししてくれた理解ある母だが、女性関係は別らしい。何か希望があるわけではないが何か言いたげ。いったい僕にどうしろというの。
妻には絶対に言えないが、実はプロポーズしたときに「母に気に入ってもらえるかな」と少し思った。「あなたはマザコン?」とか言われそうだが、母と彼女や妻の間に立つとき、神経をすり減らしている男は少なくないと思うなぁ。
優しすぎるイマどき男子
久しぶりに学生時代の女友達と会ったら「目下最大の悩み」と切り出されたのが、一流大学に通う息子の彼女問題。「結婚なんて言い出したらどうしよう。変な娘につかまって一生過ごすのに比べたら、留年ぐらい何でもないわ」
そこに油を注いだのがもう一人の女友達。聞けば息子の友人がお金のかかるイケイケ女子大生につかまったという。「優秀だった成績は急降下。周囲の忠告もあり別れたけれど、ふぬけ状態になったって。息子だったらと思うと、ぞっとする」。そんなこんなの話で盛り上がった、いや、盛り下がったと言うべきか。
以前の私なら「誰と結婚しようが、ほっておけ。息子は息子」と言ったはずだが、今はちょっと変わった。だって異分子の影響で、親兄弟姉妹の関係が壊れることもあるんだから。
もっとも、それも杞憂(きゆう)かもしれない。今は家族関係を壊してまで愛する彼女と結婚するような男子はいないのではないか。彼女を母親に紹介してはダメ出しを食らい、30歳にしてようやくお眼鏡にかなう伴侶をゲットした後輩もいた。イマどき男子は優しいのだ。
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