言い争いの原因は何だっけ? 夫婦げんかの勝者は…
家庭の平和 逃げるが勝ち
「ねえ、聞いてる?」。カミさんの小言に閉口して押し黙っていると、やんわり、この一言が追い打ちをかけてくる。「わかった、わかった」。情けないかもしれないが、僕には、カミさんと一戦を交える勇気はない。心を入れ替えて小言を拝聴し、最後に謝る。それが、いつものパターンだ。
この日の小言は、「おととい、食器棚の中のお皿の並べ方がまた違っていた」という内容だった。彼女はいつも正しい。ただ、「今ごろそんなささいなことを、しつこく言うなよな」という思いは残る。
若いころは、カミさんに言い返したこともあった。けれども、口では絶対にかなわない。それに、夫婦げんかで勝っても、それで家庭の平和が乱れては元も子もない。平和を守るため、僕はカミさんに勝ちを譲ることにした。そう決めてから、我が家は円満だ。
先日、友人たちと飲んでいて「夫婦げんかはどっちが勝つ?」と聞いたら、全員「カミさんに決まっている」口をそろえた。「けんかしたら仲直りするまでが大変だろ。面倒だから白旗揚げておくのが一番だよ」
まったく同感。「逃げるが勝ち」の精神が、日本の家庭を守っているんだ。
あなたのために気長な私
「パソコンに送れというけど、携帯電話のメールにはそのまま返信しちゃうよ」「そうかもしれないけどさー」「返信はパソコンのメールにって書くか、アドレスつけてよねー」。言いたいことはその場でなく後日、笑顔で穏やかにいうのがポイントだ。
ことの始まりは3日前。夫のメールに無造作に返信したら、携帯メールあてだったのだ。「携帯メールは見ないって言っただろ」と不機嫌な夫に、ムッとしたが、その場は「あー、そうだね」と言うにとどめた。
言い返すのは簡単。勝つ自信も満々。だが感情的になると本題からずれてしまう。何度も同じことでもめて嫌な思いをするのはごめんだ。夫に一度も言い負けたことがない私ですらそうなのだから、夫はなおさらだろう。
だからけんかになりそうだと感じたら一時撤退。その後、夫が聞く耳を持つ時を選び、普通の会話として再開。同じようなけんかのタネを取り除いている。
米国のある大学の調査によると、けんかをしない夫婦はけんかをよくする夫婦より長生きだという。けんかしないのは2人のため。どうせ勝つのは私だしね。
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