ベストをフランス語で「ジレ」
コトバ百貨店
自分が一番輝いていた時代の流行を、人は死ぬまで引きずるといわれる。そういえば私も10代のとき爆発的に流行したタータンチェックを、今にいたるまで何十年も偏愛。てことは、あの頃が人生のピークだったってことか。
自分のピークは、その後二度とめぐってこないが、20~30年で一周するといわれるファッションの流行は別。古くさいといわれつつ我慢して着ていたら、流行ど真ん中になっちゃった、なんてことも中年になるとけっこうある。
ただし困るのは、呼び名が変わって帰ってくること。たとえば有名なのは、ジーパン→ジーンズ→デニムへの変遷。また、うっかりチュニックをアッパッパとか、サロペットをオーバーオールと呼んだ日には、即、古い人に。
というわけで今週は、自分の覚書を兼ねて、最近の「年バレ語」のひとつをご紹介。「ジレ」だ。要は袖のない服。英語ではベストだが、フランス語ではジレとなり、なぜかこう呼ぶ若い者が増えている。
考えてみれば、カミシモに合わせる肩衣とか、鬼太郎のちゃんちゃんこも、ジレといえばジレ。「直着」が語源との説もあるチョッキを、さんざん年寄り語とバカにしてきた報いが今?
(ライター 福光 恵)
[日経プラスワン2013年10月5日付]
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