質実剛健な女心を満たす 「ジェネリック家具」
コトバ百貨店
一生もののソファ探しを始めて、もう20年くらいになる。何度も清水の舞台からジャンプしかけたが、自分の生活態度を思うと、どうにも踏み切れない。だって想像してほしい。たとえばコルビジェのオシャレソファに、脱いだパジャマがかかってるとか、寝転んで、おせんべいを食べながら、お腹かいてるとか。
しかも有名デザイナー家具というと、本物は軽自動車並のお値段。家具というのは私の勝負下着みたいなもんで、大金かけても人に見せる機会は、ほぼない。だったらジュエリーやバッグのほうがいいっていうのが、女心だと思う。
というわけで「コトバ百貨店」第1回のお品物は、そんな質実剛健な女心を満たしてくれるコレ、「ジェネリック家具」だ。特許の切れた安い後発薬「ジェネリック医薬品」は有名。同じように意匠権が切れて、安く作れるようになったノンブランドのデザイナーズ家具のことを、粗悪なコピー品と区別して、こう呼ぶ。
医薬品同様、本家とまったく同じ商品ではないが、十分の一とかの値段で、往年の名デザインを楽しめる。これなら生活臭にまみれても、ま、いいか。作者のコルビジェ先生も予想しなかった、日本の庶民生活とのコラボが始まるかも?
(ライター 福光 恵)
[日経プラスワン2013年5月11日付]
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