なまけ者にも楽しいスポット? 糸つむぎバー
コトバ百貨店
グリム童話に、糸つむぎが大嫌いな、なまけ者女子の話がある。勧善懲悪が基本の童話にしては珍しく、主人公は老女に助けられ、なまけ者なのに幸せになるというナイスなお話。ちなみにこちら、私の座右の童話だが、現実では痛い目に遭うだけで、老女なんてあらわれやしない。
というわけで、今週のお品物はこれ。バーカウンターでお酒などを楽しみながら、糸つむぎの作業ができる「糸つむぎバー」だ。さっそく、「Tokyo Cotton Village」(東京都世田谷区)に行ってみた。
「絶滅寸前の和綿のことを知ってもらいたい」と、ご主人が開店。綿を端からねじり、1本の糸にしていく。ご主人お手製の割り箸糸巻きで、切れないようひたすらねじねじ。織物は「糸とり3年、織り3日」といわれるそうで、これが意外にむずかしい。
心を無にしてねじるうち、店内はいつのまにかお客さんで一杯に。で、みんながねじる、ねじる。指は動かしながら、隣の人とのおしゃべりも弾ませつつ、ねじねじすること3時間、ようやく2メートルの糸ができた。これを「キープ」して通えば、店内の織機で織物を作ることも可能とか。そんな、なまけ者にも楽しい新癒やしスポット、誕生!
(ライター 福光 恵)
[日経プラスワン2013年7月20日付]
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