飲み会での気配り してもされても色々と……
ライバル出現
上司と飲みに行ったとき、料理を取り分けたりお酒をついだりするのは若手の自分にとって大事な仕事の1つ。入社当時は「気が利かないやつだ」と怒られてばかりだったけど、3年目の今となっては考えるより先に自然と体が動く。飲み会では上司のおやじギャグに突っ込みを入れる余裕すらある。
ところが先日の飲み会で、強力なライバルが現れた。3つ上の先輩女性だ。先輩はとにかく動きが機敏。大皿に盛られた野菜いためがテーブルに置かれると同時に取り分け始め、追加注文があれば「注文お願いしまーす!」と真っ先に店員を呼ぶ。年次で言えば僕が1番若手なのに、仕事を全部奪われてしまう。
飲み会での気配りは、男女関係なく若手がやるべきだというのが僕のスタンス。女性の方が気配り上手なのかもしれないけど、僕にも後輩としての意地がある。先輩に任せっきりでは罪悪感すらある。
たまらず先輩女性に「僕がやりますから大丈夫です」と言って、サラダが入ったボウルを手に取った。すると先輩は「いいの、私にやらせて。女子力が下がっちゃうじゃない!」とぴしゃり。そういえば先輩は独身だっけ。もしかして合コンの練習も兼ねてるのかな。
せかさないで
「次、どうしますか」。会社の飲み会で新人の男子が4分の1ほど残った生ビールのグラスを見ながら聞いてきた。メニューを片手に「飲み放題で、いろいろ頼めますよ」とにっこり。最近の若い子は気配り上手で優しい。
気を使ってくれるのはうれしいけど、上司のグラスや取り皿が空いているのに私が気付かず、後輩に先を越されると何となく居心地が悪い。約10年前の新人時代。大皿料理を取り分けるのは新人、特に女性の務めという暗黙の空気があった。「気配りができない」というレッテルを避けたくて、同期の女性同士で競うように先輩の皿やグラスをチェックしていたものだ。
悲しいかな、その習性が抜けない。さすがに今は「女なら気を使え」と言う上司はいないが、大皿がテーブルに置かれると反射的に取り箸を探す。ときに若い子と箸の取り合いになり、戦いに敗れることもある。彼らも「新人の仕事」に懸命なのだろう。
でももう一歩かなとも思う。飲み物が4分の1になるたびに「次どうします?」と聞くから、せかされている気分になる。飲み会の興が乗ってきたらペースをみないとね。新人君に感心しつつも、一言いいたくなるのはオバサンに近づいた証拠かしら。
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