「結婚します」 最初に報告する上司は誰?
「中抜き」するな
「直接の上司は俺なんだから、まず俺に報告してほしかったですね。何だか面目丸つぶれですよ」。居酒屋でこうぼやいていたのは、職場の後輩女性が得意先の御曹司と結婚することになった40代の管理職男性A君だ。
彼はこの話を、社内のエレベーターでたまたま一緒になった本部長から聞き、仰天した。後輩女性は以前に部署が同じだった本部長に異動後も時々、仕事の相談に乗ってもらっていた。今回もまず本部長に打ち明けたらしい。
「本部長は、何だ知らないのかという顔をしてましたよ」とA君。相談事があるとき信頼している人にまず持ちかけるのは自然なことだけど、「後任をどうするかという人事に関係するし、俺の管理能力が問われるんですよね」と愚痴をこぼすA君の気持ちはよく分かる。
僕も昔、一緒にプロジェクトを進めていた後輩女性がプロジェクトを統括するもっと上の人に直接報告し、すべて指示を受けようとしたので焦ったことがある。
序列を重んじ、すぐ上の上司の顔をつぶさないように報告を繰り返しながら仕事を進めるのが会社のオキテ。それを無視して「中抜き」したら、された側は立場を失い、つらいんじゃないかな。
肩書よりキャラ
「プライベートな話をなぜ苦手なオヤジに話さなきゃならないのよ。仕事はこれまでと変わらず続ける。迷惑はかけないというのに」。何年も一緒に暮らしている彼とやっと入籍することになったA子ちゃんは文句たらたら。「親身になってくれる部長なら話しやすいのに、なんで課長なの!?」
その気持ち、わかる。誰だっていやな相手に大事なプライベートは話したくないもの。女には相手の地位よりも親しみが持てるかどうかの共感力が大事。「中抜き」がイヤなら、愛されキャラになるよう努力しろということ。
でも怒るな、男たちよ。そのうち女も会社のオキテに忠実になる。これから女性管理職が増殖すれば、女たちも「中抜き」のつらさを身をもって知る。共感より組織が大事だってことになるはず。
女が会社組織に組み込まれてきた歴史は、男に比べて圧倒的に短い。なにせ組織化の最たるものが軍隊だ。男たちは紀元前の時代から組織化になじんできた。女が会社のオキテに飼いならされるのはこれからだ。女が仲間になった暁には、さぞかし日本の組織力も強固なものになるだろう。ああ、でもそんな軍隊みたいな社会って……。本能がなんとなくざわつく。
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