気になる同期…出世レースで複雑な関係
俺って会社人間?
入社した当時はバブル期。それ以前の入社組と違い、大量採用の時代で同期の社員数は一ケタ違う。振り返ると懐かしいな。入社研修では同期の数の力にもの言わせ、指導役の先輩をずいぶんとてこずらせたり、明け方まで酒を飲んで騒いだりしたものだ。
あれから約25年。同期の仲は少しずつ変わった気がする。かつては異動期の度に同期で歓送迎会を開催していたが、最近はご無沙汰。まれに開かれても参加者は少ない。社内で同期に会っても声を掛け合うことが減った。
理由の一つは社内の地位で差が広がったことじゃないかな。出世街道を歩むやつもいれば、出向を余儀なくされたやつもいる。若いころは自分のペースで頑張ればいいと思っていたが、ウサギとカメの給料は当然差があるわけで、自然と胸中は複雑になる。
こんなことをぼやくと一笑に付すのが同期の総合職女性。社外の勉強会や交流会に参加したり、出産・育児休暇でママ友ができたりしてモノの考え方が複線なんだな。休職して大学院で学び、復職後も専門知識を磨き続けて、今や週1で大学の非常勤講師を兼ねる女性もいる。定年までまだ10年以上ある。単線から複線に切り替えるのに遅くはないな……。
女もいずれ悩むのさ
年に1度の同期会が入社以来ずっと続いている。参加するのはほぼ大卒組。男女雇用機会均等法以前の入社なので、大卒女子は私一人という時代だった。
途切れず続く同期会だが、順風満帆に来たわけでもない。血気盛んな20~30代は参加者も多かった。出世レースが進むにつれ「犬猿の仲」のような関係も生じたようだ。参加者が一番少なかったのは出世レースの最後のコーナーを迎えた頃か。男たちの胸には同期ゆえのいろいろな葛藤があったのだろう。
かくいう私の同期会参加率はかなり高い。そもそも同じ入社試験を経たとはいえ、歩む道が全く違った。同じ立場の女子がおらず、男性陣のようなキャリアパスも用意されていなかったから、同期の動静は気にならなかった。「言い訳」があるから「私は私」を貫けたのだろう。
今の時代なら出産・育児が出世に対して一線を画す理由になる。だが社会的な育児サポート態勢が整い、総合職の男女比率も半々になった暁には、女たちも「同期に対する複雑な思い」で心揺れるようになるのだろう。出世もするけど、男たちと同じように悩みやストレスを抱えるようになる。幸せなんだか不幸せなんだか。
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