そんなにいろいろ必要? 旅の荷造りは誰がする
旅の始まりは父の怒声
「アメ持ってる?」「2種類あるわ」。「手が汚れちゃった」「ウエットティッシュでいい?」――。
両親を含め3世代で旅行するときに驚くのは、母の旅行カバンだ。子どもが何か言えば何でもでてくる。まるでドラえもんの4次元ポケットだ。
私は自分の日焼け止めや化粧品、子どもたちの洋服など旅行先で使うものを中心に荷造りする。旅先で買えても、選択肢が少なく気に入らないと嫌だからだ。
一方で移動中に役立ちそうなお茶やガム、本などは「途中、ほしくなったらどこかのコンビニエンスストアで買えばいい」と思う。一般的な旅行先ならなんとかなる。
しかし上の世代の女性は違う。飲み物に菓子、ティッシュにストールなどたくさん用意している。ばんそうこうや薬類も完璧。家を出たところから様々な場面を想定し備えているのだ。
難点はドラえもんと違い、ぱっとでてこないこと。品数が増えすぎ、在りかがわからなくなる。前の晩に確認したのに出発直前に、またバッグを開けて「あら、どこかしら?」が始まる。「どっかにあるだろ」。とっくに車に乗り込んだ父のとがった声で夏の旅行が始まる。
準備し過ぎ 持つのは誰?
「だから早く用意してって、あれほど言ったでしょ」。朝早く、家中にカミさんの声が響く。部の合宿に出かける高校生の息子が、出発の朝になっても荷物をまとめていなかった。足りないものがいくつかあって、カミさんの逆鱗(げきりん)にふれたらしい。こういうときは「まったく、パパと同じなんだから」と、僕に矛先が向かってくる。
確かに僕も旅の荷物は出発当日にまとめることが多い。カメラが充電切れで、重い充電機器も詰めこむことになったり、持って行くつもりだった上着が見つからず、タンスを探し回ったり。そんな僕を白い目で見ながら、彼女は「どうしてもっと早く準備しないのよ」とぼやく。
そう言われても前日まで仕事で忙しくて準備どころでない。足りないものは現地調達すればいいだろう。そう思いながら家族共用のかばんに荷物を入れようとすると、すでにカミさんの荷物だらけで空きがない。
宿に浴衣があるのにパジャマを詰めこむ。替えの靴もある。そもそも数日の旅に、こんなたくさんの晴れ着が必要か。準備がいいのは認めるが、この荷物、誰が持つと思っているのか。
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