割り勘か傾斜配分か 職場の飲み会がツライ
「先輩が出す」もはや幻想
「むしり取るな むしられるほどの 金はない」。今の僕の気持ちを、川柳にして表すなら、こんなところだろう。送別会に続いて歓迎会ラッシュ。春は何かとお金がかかる。50代ともなれば、若手社員から「多めに出してもらえますよね」と期待がかかっているのはよく分かる。けれどもないものはない。割り勘にしてもらうしか道はない。
昔の50代は年功序列の恩恵にあずかり、高い給料をもらっていたのだろう。若いころ、部長や課長は「子どもの教育費が大変だ」とぼやきながらも、それなりに裕福だった気がする。僕もいつか、あんなふうに懐の温かそうな人種になりたいと思い、自分が高い給料をもらえる日を待っていた。ところが年功序列賃金は崩れ、やってきたのは想定外の減給だった。
管理職になっても賃金は伸びず、それどころか減給になる会社が少なくない。管理職になれない人はもっと厳しい憂き目に遭っている。奥さんの収入も超低空飛行で、子どもの教育費ばかりがかさむ。可処分所得でみれば、今の40~50代は若い人よりも貧乏だろう。「先輩が出してくれる」という幻想はもう抱かないでほしいなあ。
太っ腹なところ見せてよ
最近、職場仲間と飲みに行く機会が減った。新人のころは仕事が一段落すると先輩に呼びかけられ、職場のみんなで近くの店に行ったのに。寂しく感じるのは私だけ?
居酒屋でお酒を飲みながら「あの仕事はよかった」とか「もう少し勉強をしろ」とか。ワイワイと話す時間は、あしたの働く元気をもたらしてくれた。支払いは上司や先輩が多く払う「傾斜配分」がしきたり。私も後輩と食事をするときは、それにならっている。
でも、飲み会が減ったのは、それが原因みたい。
家のローンとか子どもの教育費とか、懐の寂しさをほのめかす先輩がずいぶん増えた。加えて年齢の高い先輩が増えたため、上司がいて元上司がいて、と職場の関係が複雑に。そのため傾斜配分が難しい。部の歓送迎会で幹事をするときは全員同額の会費制。安月給の若手からは不満の声があがっている。
先輩たちがそうなりたくてなったわけじゃないのは知っている。でも、時には太っ腹なところを見せてほしい。元気でかっこいい先輩が身近にいることが、若手の仕事の自信になると思うんだけどな。
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