火おこしって言われても…バーベキューで問われる男性力
今さら性別分業ってどうなの?
大型連休を手ごろに楽しむなら、近場の森や水辺でバーベキュー(BBQ)。野外でビールを片手に味わう肉の味は最高、といいたいところだが、僕はそうでもない。
男は火おこし、女は料理。普段はしきりに平等さが強調されるのに、なぜかこの時ばかりは性別分業が求められるからだ。火の世話と言われてもねぇ。
女性陣は肉や野菜を用意し、テーブルをセッティング。普段の家事と変わらない。でも、河原の石でかまどを組み、薪で火をおこすのはかなりの難題だ。そんなこと習ったこともないし。
でも、必ずいるんだな、アウトドア活動にたけたお父さんが。古新聞を巻いて火を付け、薪(まき)はあっという間に燃え上がった。鉄板で肉を上手に焼き、みんなに取り分ける。そんな父親の周囲には子どもたちの輪ができ、遠巻きにお母さんたちの視線も集める。
僕はといえば「こんな枝を集めてください」と頼まれ、周辺をうろうろ歩き回るのみ。つくづく自分には「生きる力」がないと痛感させられる。
あたりに立ちこめる煙が目にしみる。肉の味にも文句はないが、乾杯のビールはいつもほろ苦い。
「本物の男」見極めたい
浜辺で火おこしをする彼。今日のメーンディッシュは、彼が素潜りしてモリで突いた南国の魚とタコだ。日に焼けた彼の素肌が海と空に映える――。
妄想ではない。「キャンプ&カヤック南の旅」というこぢんまりしたツアーで出会った長身イケメンのガイドがそうだったのだ。しかも、木片と棒を使った原始的な火おこしまでできてしまうのだ。
だいたいテントも寝袋も使ったことがない身で、辺境の浜辺によく2泊もキャンプをしたと思うが、そこではいろいろなことを学んだ。油で汚れた食器は波打ち際で砂でこすって洗うのか。一事が万事新鮮で「なるほど~」の連発だった。ガイドは確かにイケメンだが、それ以上に本物のワイルドさがとてもイケた。
「男に頼る」なんて発想は、とうの昔に置き忘れてきた。お金さえあれば都会生活では男も女も関係ないが、大災害が起きて取り残されたら生き延びられないなといつも思う。お金の通用しない混乱状態でモノをいうのは、やはり本物の男だ。ああ、だから女はその片りんを嗅ぎ分けようと、BBQで男の動きをチェックするのだ。
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