あなたは愛用派、使い捨て派?職場と夫婦の傘事情
所有者不明が増えていく
母とデパートに出かけ、折り畳み傘を買った。布地の色や柄、持ったときの感触やたたんだときにバッグに入るかどうか。開いて、閉じて、あれこれ試して、レジで会計を済ませたら1時間がたっていた。
じめじめとした雨の日。好きな傘やレイングッズを使えると思うと、出勤や外出も少し気が晴れる。
なのに、一体これは何? 職場に着いて傘立てに刺そうとすると、隙間がほとんどない。透明のビニール傘や、500円くらいの黒い傘。雑にたたんでふくらんだり、斜めに寄りかかったりして占拠している。
「傘持つの苦手なんだよね~」。同僚の男どもは、雨が降るとコンビニで買って、そのまま置き傘にする。帰宅するタイミングで雨が降っていると、玄関から戻ってきて「誰かが持っていった」なんて文句を言いながら、適当な一本を拝借していく。まったく……。
仕事ができる男は整理整頓ができて、小物にもこだわるってビジネス雑誌に書いてあったけど、あれは絶対に幻想。雨が降るたび、また職場の傘が増えていく。もはや誰のかわからないから勝手に整理もできない。私の傘は、どこにしまえばいいの。
少し僕に似ているかも
「ちょっとチャンネル変えるね」。妻は毎朝、朝ドラを見る僕からリモコンを奪い、天気予報をチェックする。降水確率をチェックすると「雨が降りそう、靴どうしよう」「あの服、着ない方がいいよね」などと答えに困る質問を投げかけてくる。何を言っているんだか……。
急に雨が降っても困ることなんてない。どうせ服は雨でも晴れでもスーツ。さすがに確率100%の時は大きい傘を持って行くが、50%なら折り畳み傘、それ以下なら何も持たない。
外にいたって地下道やアーケードに逃げればいい。それに、いざとなれば街のどこでも買えるサラリーマンの味方、ビニール傘があるじゃないか。
必要十分な機能を備えて500円ほど。だから電車に置き忘れても、さして気にならない。そんな存在感の軽さも気に入っている。なんとなく職場や家庭での僕に似ているから。
ところがだ。妻には、ただの安い傘でしかないらしい。先日、壊れかけたビニール傘を持ち帰ったら「恥ずかしい、捨てて」とぴしゃり。「ついでにあなたも」とでも言いたげな妻の目つきに背筋がヒヤッとした。
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