義理ほど高いものはない ホワイトデーの憂鬱
マナーと言われ 今年も行列
若いころ、職場で義理チョコをもらった時には、手放しでうれしく感じたものだ。職場に好きな女性がいて、その人からもらえた瞬間はときめいた。だが思い出はセピア色に変わり、近ごろは、バレンタインデーよ、なくなってくれとぼやいている自分がいる。
なにしろ、お返しが面倒なのだ。昔はもらいっ放し、食べっぱなしだったが、カミさんから「返すのがマナーよ」と教育されている手前、放っておくわけにはいかない。小さな義理チョコに一人で大きな返礼をしたら、どう誤解されるか知れないので、同僚の男性たちを巻きこむ。代表して調達に出かけ、あとで諸氏から集金するのだが、忙しくて徴収しきれないこともある。ああ、この役回りはそろそろ卒業したい……。
我が子のお返しにハラハラ
「息子のお返し、どうしよう」。ホワイトデーが近づき、頭を痛める小学校のママ友は少なくない。シールのセットで済ませる人もいれば、カラフルな髪留めやカップケーキを手作りするママも。息子が18個ももらったと苦笑いするママもいる。
子どもが幼いころのバレンタインチョコは、母親が男の子に「仲良くしてくれてありがとう」と気遣って贈るものであることが多い。だから、男の子のママたちの悩みの種になる。「迷惑」と公言する人はいるし、「恋愛なんてまだ早い」と、女の子にお門違いの嫉妬をするママもいて、あぜんとしたことがある。
もっとも我が家の小学生女子はホワイトデーなど気にしていない様子。今年のバレンタインデーは20人分のチョコを作ったが、すべて女の子の友達にあげる「友チョコ」。当日みんなで交換したので、お返しをされるはずもなく一安心。
「好きな男の子にあげたりする子はいないの?」。一応聞いてみると、「えっ、男子なんかにあげるわけないじゃん」とのこと。お返しがこないホワイトデーに、夫はちょっとにんまりしている。
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