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少子化問題と男女平等問題はコインの裏表

スウェーデンから見る日本 高見幸子

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 OECDの発表によると、女性の就業率が80%を超えるスウェーデン。女性議員の比率も45.0%と、日本の衆議院における女性議員の比率11.3%を大きく上回っています。女性が広く活躍するスウェーデンで40年近く暮らす筆者。現地での経験を生かし、日本の生活がさらに豊かになるためのヒントを、日本の女性からの質問に答える形で、一緒に考えます。
質問
 一昨年長男を出産し、てんてこ舞いの毎日を送っています。夫は残業で深夜に帰宅することが日常的で、とても協力を求められる状態にありません。転勤地で生活しているので、夫婦2人の実家も離れていて頼る人もおらず、日中は子どもと2人きりで孤独を感じます。近隣に赤ちゃんがいる人を見かけますが、なかなかなじめず、自分のコミュニケーション能力の低さを悔いています。子どもはもっと欲しいのですが、今の状態で2人も3人も育てられるか不安です。スウェーデンの最新の子育て事情について拝見し、とてもうらやましいと思いました。まだまだ日本には私のような母親が多く存在すると思います。残念ながらかなりのギャップを感じています。(29歳、専業主婦、一児の母)

父親の育児参加と地域社会の支援で解決

近年、ベービーブームのスウェーデンでは、女性の孤立を防ぐと同時に、男性の子育て参加をしやすくするため、地域社会での手厚い子育て支援を行っています。

スウェーデンの平均的な若い母親といえる私の娘は、今、4歳と1歳の子どもを育てています。彼女は、自分が孤立していると思わない理由として、まず出産する自治体が提供しているBVC(子どもケアセンター)の看護師さんが同時期に出産したママグループを作ってくれることを挙げています。そして、そのグループのお母さんたちと一緒にお茶をしながら乳児の世話の悩み、育児の大変さを語り合えるのがよいと言っています。

そのほかに、自治体、あるいは教会がオープンプレスクールを経営しており、子どもが保育園に入るまで、あるいは親が育児休業中で家にいる場合、親子がいつでも行ける場所を提供していることを挙げています。また、街中には、ベービーカーで入れる喫茶店や、映画館などもあり、ベビー水泳教室や体操教室など、数多く母親の出会いの場があるため、孤立することはないと言います。

国も活動援助金

日本でも、近年、母親が孤立しないように支援しているNPOやNGOが全国に普及していると聞きます。スウェーデンでは、住民税(所得税)が約30%、消費税が25%というように税金が高いため、地域社会の中で、まずは自治体が基本的な乳児のケアや保育園、学童保育園などのサービスを提供するシステムになっているのです。

小学校以上の子どもに対しては、地域社会にサッカーやアイスホッケーや乗馬、スカウト、野外活動などといった様々な余暇の活動を提供するボランテイアのNGOがあります。

彼らは健全な子どもの育成のために支援を行っています。社会に貢献しているということから、国も活動援助金を支給しています。

日本も、保育園や母親へのサポートをしているNPOやNGOに対して、国が助成金を出したり、企業が寄付をするなどして、全国の母親に行きわたるシステムになることが求められるのではないかと思います。

男性が半年の育児休業

スウェーデンで母親が孤立しない理由に、男性が育児休業の半分(半年)を取って積極的に育児に参加し、2人でシェアする体制が整ってきたことがあります。そのためには、スウェーデンの国の政策と企業の方針が変わる必要がありました。

日本の少子化問題の背景に母親の孤立の問題がよく指摘されています。視点を変えると、これは男女平等の問題でしょう。子育てで母親が孤立しないために、地域社会の育児援助を充実させると同時に、父親も長期に育児休業を取り、子育てに責任を取るようにすること、企業が仕事と家庭生活のワークライフバランスが取れることが必須だと思います。

父親休業を法律で保証

スウェーデンの女性が育児で孤立せず、2人も3人も出産して働いているのは、父親休業を法律で保証し、女性が育児とキャリアを両立できる条件が整ってきているからだと思います。特に、この10年で父親の育児休業に対しての企業のトップの考え方が根本的に変わったことが、大きな弾みとなっています。

例えば、10年前に大手エレクトロニクス会社が、育児休業を取って復職した男性は仕事のマネジメントが上手になるとして、育児休業中の収入を補完する補助を出す対策を始めました。

一般的に男性の方が給与が高いので、男性が育児休業を取得する権利があっても、家計を考えてどうしても男性が働き、女性が育児休業をとることが多かったため、給与の問題を解決したのです。

次に、育児の大変さを体験した人材の方が企業にとって有利だという考え方の転換も大きいです。育児経験のある女性の上司が増えるだけでなく、育児経験のある男性の上司が増えることで、若い子育て中の社員への理解が深まるという良いスパイラルが起きたのだと思います。

また、女性社員が長期の育児休業を取っても同じ職場に復帰するのを企業が保証していることが、日本のようにM字カーブにならない理由となっています。

ですから、少子化問題と男女平等問題はコインの裏表と言えます。日本が少子化問題の解決方法を考える時に、男女平等の視点を忘れないことが重要です。

育児とキャリアが両立できるワークライフバランスを

スウェーデンで考えられている育児とキャリアが両立できる労働条件は、まず残業をしないことです。スウェーデンの経済連盟は、企業が優秀なスタッフを確保する対策として、社員の仕事と育児をあげ、次の点を考えるようにアドバイスしています。

● 子どもを持つ親への対応についてポリシーを持つ
● 社内新聞などで父親休業を取った社員の取材記事を載せて父親休業を取るように励ます
● 社会保険から出る育児休業手当と給料の差額を補完する(スウェーデンでは、社会保険から給料の80%が出るので20%を支払うことになります)
● 育児休業を取った後、働いていた同じ仕事と同じ給料で復職できる権利があることを明確にする
● 育児休業前に、育児休業中にどのようなアレンジをしてほしいか話し合いを持つ
● 復職後、フレックスの勤務時間を提供する

優秀な新入社員を得るため、積極的にファミリーポリシーに取り組む企業が増えています。スウェーデンの社会がここまで来るのに20~30年かかっています。でも、スウェーデンにできたのだから日本にもできるはず。社会の変化は一人一人の意識が変わることから始まります。

高見幸子
1974年よりスウェーデン在住。15年間、ストックホルムの基礎学校と高校で日本語教師を務める。1995年から、スウェーデンへの環境視察のコーデイネートや執筆活動等を通じてスウェーデンの環境保護などを日本に紹介。2000年から国際NGOナチュラルステップジャパンの代表。現在、顧問として企業、自治体の環境ファシリテーターとして活動中。共訳『スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか』(合同出版)など。

[ecomomサイト2013年1月22日付記事を再構成]

[参考] 家族と自然にやさしい暮らしがテーマの季刊誌『ecomom(エコマム)』。2014年春号では、「『食』からはじまる家族の健康」「イマドキの小学校の英語どうなっているの?」「震災を忘れない――。今からでもできること」などを特集。公式サイト(http://business.nikkeibp.co.jp/ecomom/)で登録すると、無料で雑誌が届く。

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