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北欧でも、育児支援は国に頼れない? 頼みの綱は…

スウェーデンから見る日本 高見幸子

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NIKKEI STYLE

 OECDの発表によると、女性の就業率が80%を超えるスウェーデン。女性議員の比率も45.0%と、日本の衆議院における女性議員の比率11.3%を大きく上回っています。女性が広く活躍するスウェーデンで40年近く暮らす筆者。現地での経験を生かし、日本の生活がさらに豊かになるためのヒントを、日本の女性からの質問に答える形で、一緒に考えます。
質問
 仕事と子育ての両立で、毎日戦争のような日々を送っています。出産・育児に関する会社の制度は整っている方ですが、それでも残業などがあり、夫婦2人ではやりくりが大変で、時折あぶない綱渡りをしているような感覚を覚えます。もう1人子どもがほしいのですが、今の状態では不安です。ただ、独り暮らしの実母(64歳)が、近くに越して手伝ってくれると言っています。母にはこれまでもいろいろと苦労をかけてきたので、これからは自分のことを大切にして欲しいと願っており、余り甘えてはいけないと考えていますが、助けてもらえたらという気持ちもあります。
 最近高見さんがお孫さんとよく関わっていらっしゃる記事を拝見し、欧米の母子像はもっとお互いに独立しているイメージがあったので、少し意外に感じていました。社会全体でそのような傾向があるのでしょうか?(35歳、会社員、一児の母)

スウェーデンの子育て環境の変化

スウェーデンは、1970年代から子育て支援や老後の両親の世話の支援を社会全体のシステムとして構築してきました。子育て支援に関しては、待機児童の問題を解消し、保育園の質も改善してきました。

近年、男性も子育てに参加するようにと、2カ月の父親育児休暇のシステムもできました。日本から見るといたれりつくせりの子育て支援に見えるかもしれませんが、このシステムを支えているのは税金です。税金で支えているシステムは、国の経済状況の影響を受けます。

たとえば、2008年のリーマンショックによる世界的な不況は、スウェーデン経済にも大きな影響がありました。失業率があがり、自治体の経済を圧迫し、いろいろな福祉サービスが削られました。子育て支援にもその影響はあり、保育園の1クラスの子どもの定員数が増え、産休中に子どもを預けられる時間数が減る自治体も出ました。

そのうえ、都市化とベービーブームが重なり、スウェーデンの首都のストックホルムでは、両親が申請すると4カ月以内に保育園の場所を提供しなければならないという法律があるにも関わらず提供できない自治体も出てきています。今までのように社会福祉だけに頼っていては、キャリアと子育てが両立しにくい子育て環境になってきているといえます。若いカップルが多様な解決策を見つけていくことが必要な時代になっているといえるでしょう。

政府の新しい支援策

雇用を増やすために2009年に導入した新しい政策があります。それは、個人が家の掃除や、庭の手入れ、子どもの保育園の送り迎え、ベビーシッターなどのサービスを利用するとその半額を国が助成してくれるというものです。これは、若い子育て最中の家族が歓迎する政策になりました。年間1人、最高約60万円、夫婦だと120万円の助成金が得られます。

このシステムは、まだ新しいシステムですが、キャリアと育児の両立のために忙しい日常生活を送っている若いカップルは歓迎しています。

特に、掃除や子どもの保育園の送り迎え、ベビーシッターの需要は大きく、家事の手伝いのサービスを提供する企業が急増しているという状況です。ただ、このシステムは経済的な余裕のあるカップルでないと活用ができないという課題は残ります。

祖父母の定年退職と孫の誕生時期が一致

そのような中で、見直されているのが、祖父母の子育て支援です。

寿命が延び、現在のほとんどの子どもたちは祖父母が健在です。そして、祖父母たちが進んで孫の子育て支援をするという新しい社会現象が起きているのです。

背景には、スウェーデンの女性たちは、教育を終えた後、キャリアもある程度積んでから出産をするので、初産が30~35歳というように高年齢になっていることがあります。ちょうど、両親たちが定年退職をする年齢に重なるのです。ちなみに、スウェーデン人が定年退職する年齢は平均63歳です。

そして、定年退職をした世代は、健康でアクティブです。彼らは、定年退職後の自由な時間を自分の趣味に費やすだけでなく、孫の育児支援にかなりの時間と労力をかけるようになっているのです。

週2日間、定期的に孫を保育園に迎えに行き、親が帰宅するまで子守りをして夕食を作って待っている。あるいは、週末は、孫たちを自宅で預かるなど、積極的に子どもたちの育児に関わっています。日本では、当然のような風景ですが、スウェーデンでは、新しいトレンドなのです。

孫は、人生のデザートではなくメインになった

2012年2月23日に、スウェーデンのヴィクトリア皇女(35歳)が女子を出産されました。祖母となったシルビア女王は、「孫は人生のデザート」という表現をされました。このフレーズは、多くの国民の賛同を得ましたが、積極的に孫の子育てに関わっている最近の祖父母にとって孫は「デザートではなくメイン」になっています。

スウェーデンでは3世代が同居することがないので、最近のこの社会現象は新しいトレンドなのです。祖父母にとっては、孫の子育て支援は、義務とか自分を犠牲にするという感覚は全くなく、孫との人間関係を築くことによって自らが得るものが非常に大きいと評価しています。

それだけ評価が高いため、祖父母が孫と関わる権利を、国の法律で保証してもらいたいという声が年々高くなっているほどです。近い将来、親権と同様に、祖父母権というものが誕生するかも知れません。

自治体の子育て支援に限界が見えてきて、多様な解決方法が必要な時代となった今、同時に、祖父母が孫の育児に生きがいを見出すようになったことで、子育ての環境がより良い方向に発展することを期待しています。

高見幸子
1974年よりスウェーデン在住。15年間、ストックホルムの基礎学校と高校で日本語教師を務める。1995年から、スウェーデンへの環境視察のコーデイネートや執筆活動等を通じてスウェーデンの環境保護などを日本に紹介。2000年から国際NGOナチュラルステップジャパンの代表。現在、顧問として企業、自治体の環境ファシリテーターとして活動中。共訳『スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか』(合同出版)など。

[ecomomサイト2012年2月28日付記事に加筆修正し再構成]

[参考] 家族と自然にやさしい暮らしがテーマの季刊誌『ecomom(エコマム)』。2014年春号では、「『食』からはじまる家族の健康」「イマドキの小学校の英語どうなっているの?」「震災を忘れない――。今からでもできること」などを特集。公式サイト(http://business.nikkeibp.co.jp/ecomom/)で登録すると、無料で雑誌が届く。

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