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環境先進国いまや4割が再生エネルギー、日本は大丈夫?

スウェーデンから見る日本 高見幸子

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NIKKEI STYLE

今回は、私が住むスウェーデンが経験した放射性物質による汚染の体験をお話しします。2011年3月11日に起きた東日本大震災。地震だけでなく津波、そして福島原発事故に被災されましたみなさま、そのご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。

震災直後はスウェーデンでも、毎日トップニュースで日本の津波被害の様子と福島原発事故の危機的な状況について報道があり夜も眠れない日々が続きました。あれから3年。復興庁によるとまだ26万人もの方々が避難者で主に仮設住宅で生活をされているとのこと。一日も早く、元の普通の生活にもどれるようになることを切に願っております。

チェルノブイリ原発事故でスウェーデンにも放射性物質

放射性物質による汚染ということでは、スウェーデンも経験があります。ちょうど28年前に起きたチェルノブイリ原発事故。その時、スウェーデンでは大雨とともに、チェルノブイリから放出されたセシウム137の5%が降下しました。放射性物質は主に、スウェーデン東海岸北部のウメオ市から南部のストックホルム市を汚染しました。

しかし、当時、ストックホルムに住んでいた私は、パニックにはなりませんでした。理由は、自分が住んでいる地域の放射性物質の濃度や、その健康への影響についてスウェーデン政府の放射能検査院からテレビやラジオ、新聞を通して詳しく説明があったからです。また、心配な人は、いつでも放射能検査の専門家に電話して個人的に質問することもできました。

私はすぐに、葉物野菜、ブルーベリー、キノコ、野生のシカやトナカイ、ヘラジカの肉、ミルクを飲まないなどの対策をしました。どのような対策をすればいいかの具体的な情報があったので、安心して日常生活を過ごすことができました。

スウェーデンの国民にも広がる原発への不安

スウェーデンの人々は、東日本大震災をキッカケに地震、津波が多い日本に55基もの原発があることを知り、非常に驚きました。そして、日本は地震と津波への予防対策が、ほかの国と比べて類を見ないほど進んでいるにもかかわらず、原発事故を避けられなかったことで、原発の安全性が大きな議論となり、反原発の意見が増えました。

スウェーデンには、10基の原発があります。それらが老朽化したら、同じ場所に新しい原発を建ててよいと思うかという質問に、福島原発事故の前には47%の国民が「よい」と答えていましたが、事故後に、21%に下がったそうです。

持続可能なエネルギービジョンを

ぜひ皆さんに考えてほしいのは、日本の持続可能なエネルギービジョンです。原発推進派の方たちは、「原発が日本の成長に不可欠であった、これからも復興や発展に不可欠だ」と言われるでしょう。

過去のことをどうこう言っても仕方ありません。しかし、これからの復興や発展に、原発が必要かどうか、再検討するべきだと思います。「不便な生活を受け入れることができるか、それができないのに、環境や反原発だということはご都合主義だ」という議論がありますが、これは、時代遅れの議論です。

なぜなら、すでに世界の環境先進国、スウェーデン、デンマーク、ドイツなどでは、再生可能なエネルギー(風力、太陽光、バイオマス、水力)で、不便どころか快適な生活を過ごせることを実証しているからです。スウェーデンの再生可能なエネルギー率は、現在43.3%で、2020年に50%にすることを目指しています。また、中国では、2012年に、風力発電の増加が火力発電の増加を超え、風力発電が原発より多くなっています。アメリカでは、風力発電が新しい発電量の半分以上を占め二酸化炭素の排出量を削減しています。また、2013年に原発4基を廃止しています。世界は、劇的に再生可能なエネルギーに転換をしていっているのです。

私のアパートの電力は、風力発電から買っています。暖房は、ストックホルムの地域暖房で、海水を利用したヒートポンプです。そして、車はエタノール車です。再生可能な燃料からの電熱費だから高いということはありません。そして良心の呵責(かしゃく)を感じる必要がなく快適な生活をしています。

日本は、再生可能なエネルギー源が豊富

日本には原発の代替が全くないということはありません。

太陽光は、いま人類が必要なエネルギーの1万倍のエネルギーを地球に注いでいます。その太陽エネルギーを効率よく使う技術がまだ十分に開発されていないだけなのです。そして、技術はどんどん発展しています。

日本は資源がないと思われがちですが、太陽やそれ以外の再生可能なエネルギー源が豊富な国です。日本と同じ火山国のアイスランドでは、暖房はすべて地熱でまかなっています。

また、海に囲まれた日本は波力発電もできます。そして、森林バイオマス。人口が多いので、下水処理場の汚泥、生ゴミなどのバイオマスでバイオガスの生産もできます。

必要なのは思考の転換

ここで、必要なのは思考の転換です。もう2度と原発事故は体験したくないし、子どもや孫にも体験させたくないならば、今すぐではなくても、将来どのようなエネルギーシステムが必要かを考えましょう。

30~50年後には、日本は原発にも化石燃料にも依存していない、100%再生可能なエネルギーシステムになるというあるべき姿を描きます。そのためには、今、日本にどのような資源があるのかを検証し、どのようなステップで、どの技術に投資をしていくべきかを決め、その技術が発展するための誘導政策を進めていけばいいのです。

ここでビジョンがないと、今回の福島原発事故の後、世界が原発を見直し、急速に再生可能なエネルギーへの開発にシフトしてまい進していこうとしている中で取り残されてしまいます。それは、経済的にも日本にとって不利になります。

最近、元スウェーデンのエネルギー庁長官のトーマス・コーベイヤー氏の、日本のエネルギー状況についての講演を聞きました。その中で彼は、日本の電力会社が世界との再生可能なエネルギーの開発の競争に立ち向かうためには日本の電力市場を自由化し、発電を効率化する必要があることを主張しています。そのために政府は、電力会社が財政的に悩んでいる原発廃止、使用済み燃料の対応にかかる巨大なコストを保証する代わり、グリッドを国営化し、発電コストを下げ世界との競争に立ち向かうべきだと主張していました。

ビジョンがあれば、様々な解決方法が出てくると思います。日本は、既に原発がなくても社会が機能することを見せています。次は、再生可能なエネルギーでもできることを世界に見せてほしいと思います。

高見幸子
1974年よりスウェーデン在住。15年間、ストックホルムの基礎学校と高校で日本語教師を務める。1995年から、スウェーデンへの環境視察のコーデイネートや執筆活動等を通じてスウェーデンの環境保護などを日本に紹介。2000年から国際NGOナチュラルステップジャパンの代表。現在、顧問として企業、自治体の環境ファシリテーターとして活動中。共訳『スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか』(合同出版)など。

[ecomomサイト2011年4月1日付記事を基に再構成]

[参考] 家族と自然にやさしい暮らしがテーマの季刊誌『ecomom(エコマム)』。2014年春号では、「『食』からはじまる家族の健康」「イマドキの小学校の英語どうなっているの?」「震災を忘れない――。今からでもできること」などを特集。公式サイト(http://business.nikkeibp.co.jp/ecomom/)で登録すると、無料で雑誌が届く。

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