「いつも作る」苦労わかってる? 手料理事情
コンビニは台所代わりさ
「ちゃんとご飯食べてる?」。実家の母から届いた手紙。一緒に送られてきた大きな段ボール箱には5キログラム入りのコメ袋が2つも入っていた。気持ちはありがたいけど、一人暮らしでこんなに食べ切れないよ。
社会人になってから自炊の機会が大幅に減った。家から数分歩いたところにあるコンビニエンスストア。今はここが我が家の台所代わりだ。おにぎり、弁当、総菜パンと充実し、24時間いつでも買える。弁当は温めればすぐに食べられ、片付けも簡単だ。
両親は健康面を気にするが、心配ご無用。最近のコンビニはパック入りのサラダや煮物など総菜の種類が多く、心掛け次第でバランスのよい食事が取れる気がする。
学生の頃も一人暮らしだったが、弁当を作って持っていくほどの自炊派だった。だけど自炊は食材が余ることや、作っても食べきれないことも多い。コンビニで1人分を買う方が経済的だと思う。
料理を全く作らなくなったわけではない。友人が先日遊びに来たときは自慢のオムライスを振る舞った。女性でも料理をしない人が増えていると聞くのに比べ、自分の腕に少し自信はある。でも手間を考えると毎日は大変。コンビニ通いは続きそうだなあ。
「料理男子」に育ったけど…
冷蔵庫を開けると夫が買った米みそ、長男がインターネットで取り寄せた麦みそ、次男がこだわる豆みそが仲良く並んでいる。ただでさえ狭い庫内は窮屈極まりない。「なぜ別々に必要なの」と嫌みを言うと「みそ汁くらい好みのものを飲みたい」との答えが返ってきた。
我が家の男たちは私の手抜き料理から身を守るためか、生来の食いしん坊なせいか曲がりなりにも料理ができる。社会人の息子2人には自分で食べるものを作るのは生きる基本だと言ってきたから、好みのみそを買うのにもあえて異は唱えない。コンビニの総菜が進化したとはいえ、素材から吟味した手料理より健康的とは思えないし。
結婚当初は卵焼きすら作れなかった夫も、長かった海外単身赴任生活と口うるさい妻に鍛えられ今やかなりの腕前。先ごろ定年を迎えてからは家族のために夕飯を用意してくれる。
長男はコーヒー豆に凝り、取り寄せた豆をひいて私にもいれてくれる。次男は時々高価そうな肉を買ってステーキを焼く。しかもお手製の野菜サラダ付き。ただし、次男が作るのは徹底して自分の分だけ。家族のため長年料理を作ってきた母としては少々複雑な気分……。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。