流行わからない… カラオケで浮くのはアラサー?
「懐メロ」も仕事のうち
「何か歌えよ」。会社の歓送迎会の2次会。カラオケボックスの個室で赤ら顔の上司が肩をポンとたたいてきた。選曲用のタッチパネルを受け取り、一応考えるふりをするが歌う曲はいつも決まっている。サザンオールスターズや少年隊、沢田研二などの「懐メロ」だ。
正直なところ、どれも物心つく前の流行歌で懐かしくすらない。入社当初は上司に気に入られようという下心もないではなかったが、盛り上がる曲で場をつなぐのが仕事だと割り切ってきた。
入社後10年たち、そろそろ若者の曲も歌ってみたいが、今となっては1970~80年代の古い曲しか頭に浮かばない。
「あした~」。新入社員が最近はやりのGReeeeNを歌い始めた。「選曲に気を使えよ」と思わず舌打ちし、自分ももうオッサンかと寂しくなる。
次の曲は若者に人気のPerfume。だがマイクを握ったのは50代の上司だ。「娘から教わった」というダンスには何とも言えぬキレがあり、大うけしている。
同期と不意に目が合った。オッサンになるのも楽じゃないんだな。あいつもそう思っているに違いない。汗だくで踊る上司が輝いて見えた。
はやりの歌が分からない
入社して以来、会社の飲み会はいつも2次会でカラオケになる。参加者は20代から60代まで幅広いので、新人の頃から曲選びには気を使ってきた。松田聖子の「青い珊瑚礁」はすっかり自分のスタンダードナンバーだ。
もちろん入社する前から知っていたわけじゃない。学生時代はもっぱら椎名林檎と浜崎あゆみ。今のレパートリーは会社で大きな飲み会がある前はいつもインターネットの動画サイトで「80年代ヒットソング」を調べ、こっそり練習したたまもの。
日曜に一人でカラオケボックスに出掛け、90点台を出すまで石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」の練習をしたこともあるし、仕事が終わったあと同期3人でキャンディーズの「春一番」の振り付けを覚えたこともあったな。
なのに最近入社した後輩に「すごいですね、私そんな古いの歌えませんよ」と言われ、ショックを受けた。彼女は上司受けする歌を練習する気なんてさらさらないみたいで、流行のAKB48やももいろクローバーZを熱唱している。
職場のオジサンたちも一緒に歌って楽しそう。娘にでも教わったのか。まったく分からず、はやりの歌について行けない自分にちょっとがっかりだ。
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