2012/11/20

歴史博士

「独特の斑紋は2万~3万個のうち数個」と現代の陶工

春と秋の2回、東洋の古美術を展示する藤田美術館

その輝きを自らの手で生み出そうと今なお、研さんを重ねる人は少なくない。京都府宇治市の陶工、桶谷寧さんも20代から曜変天目をつくり続けて20年になるという。静嘉堂文庫美術館と藤田美術館の2碗は大学時代に初めて見た。「いずれも素晴らしい」と語る半面、「印象を語るのは難しい」とも話す。桶谷さんにとっては、自らつくった碗と見比べ、その違いを探る対象でもあるからだ。


多宝塔(左)がある藤田美術館の庭園

自身の挑戦では「年間2万~3万個を焼き、独特の斑紋が出るのは数個」で、状態の良い物はさらに少ない。「宋代には極めてシンプルな方法でつくっていたはず」との考えに基づいて試行錯誤を重ねる中で近年、「数秒の間に数百度の温度変化が必要」との感触を得たという。焼成中に煙突下部から窯の中に水を入れることで「急激な温度低下や気圧の変化などをもたらすと、斑紋の発生と定着が起こる」と桶谷さんはにらむ。それでも「まだ制御しきれない」と語る桶谷さんの目標は「本物を超えること」だ。

【アクセス】JR東西線大阪城北詰駅下車、徒歩2分

藤田美術館は春と秋の年2回、所蔵品の一般公開を行っているが、曜変天目の展示は2、3年に1度。今年は12月9日まで展示する。東洋陶磁美術館も同月25日まで国宝「油滴天目茶碗」を展示中。趣の異なる天目の至宝を味わえる格好の機会といえそうだ。

(文=中川竜、写真=尾城徹雄)