女性らしい視点、起業への生かし方ウーマンズ・イニシアチブ・フォーラム in Tokyo 2013

女性の起業について考える「ウーマンズ・イニシアチブ・フォーラム in Tokyo 2013」(主催=日本経済新聞社)が9月26日、都内でで開かれた。基調講演では、インドネシアの伝統工芸を生かした婦人靴の製造・販売で起業したリアンナ・グナワン氏が「新しいことをやるのはリスクがあるが、情熱を持っていれば達成できる」と強調。日本人の女性起業家らも参加して活発な議論が繰り広げられた。

3回目となる今回のフォーラムは、女性の視点に立った事業がテーマ。基調講演に続いて開かれたパネルディスカッションでは、グナワン氏、エムスクエア・ラボ社長の加藤百合子氏、スリール社長の堀江敦子氏が起業を決意した背景や事業に込める思いについて議論を交わした。司会は慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の石倉洋子氏。

加藤百合子氏(かとう・ゆりこ) 1998年東大卒。大手メーカーなどを経て2009年農業シンクタンクなどを手掛けるエムスクエア・ラボ設立。千葉県出身。39歳。
堀江敦子氏(ほりえ・あつこ) 2007年日本女子大卒。IT企業を経て10年、大学生の子育てインターンを手掛けるスリール設立。東京都出身。28歳。
リアンナ・グナワン氏  2000年豪ニューサウスウェールズ大卒。10年に自ら靴の会社「ラ・スピーナ・コレクションズ」を設立、ディレクターに就任。インドネシア出身。35歳。
石倉洋子氏(いしくら・ようこ) ハーバード大学大学院経営学博士修了。マッキンゼー、一橋大学大学院教授などを経て慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。

司会(石倉氏) 組織を離れて起業した経緯は。

加藤氏 もともとは産業用ロボットを開発していた。2人目を出産したころから、工業の仕事をしていて母親として子どものために何ができるのか、という疑問がわいてきた。もともと目指していた農業には、安心・安全な食を届けるなど、母親としてやるべきことがたくさんある。農家が本当に困っていること、野菜を購買する方が困っていることをヒアリングし、ベジプロバイダーという事業を立ち上げた。

大勢の女性が来場した「ウーマンズ・イニシアチブ・フォーラム in Tokyo 2013」(9月26日、東京・大手町)

堀江氏 子どもが大好きで中学生のころから100人以上のベビーシッターを経験し、20歳頃には「肝っ玉母さん」と呼ばれるほどだった。子育てと仕事を両立したいと思ってIT(情報技術)企業に入ったが、ワーキングマザーに聞くと自分らしく働きながら子どもに対しても愛情を注ぐのはなかなか難しい環境なんだな、とショックを受けた。環境を変えるにはこれから子育て世代になる人たちも巻き込んでいかないといけない。そのためには私と同じように学生のころから子育てと仕事の両立をリアルに体験すれば意識が変わりアクションを起こす人が増えるのではないか。そう思って事業を始めた。

司会 社会の変化を見極め、起業につながった。

加藤氏 農業は需給のミスマッチが他の業界以上に大きくなっている。原因は情報と信頼の断絶。買う側が農家とうまくつながりを作れず輸入促進に向かっている。そのミスマッチを解消しようというのがベジプロバイダーだ。質、時、量、値の4つの情報をしっかり交換、流通しましょうというのが1つ。もう1つは信頼で、古めかしい商流だが人と人がしっかり顔を見合わせて取引する。農業は社会基盤。日本は雇用、健康、教育といった社会的な課題を抱えている。農業とリンクすることでその課題を解決することができるのではないか。

堀江氏 ワーク&ライフ・インターン事業は、大学生が共働き家庭に入りお子様をお預かりする。働くこと、家庭を築くことをリアルに学んでいくというインターンシップだ。学生にとってはキャリア教育になるし、家庭にとっては子育てサポートになる。さらにもっと長期的に考えると子供を産みたい、育てたいと思うことが少子化対策にもつながっていく。3つの課題を解決していくソーシャルビジネスだ。ただ子育てサポートをしているだけではない。子育てに当事者意識を持つ人を増やし、つなげることが役割だと考えている。