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女性に人気の移動式カフェ、売り上げ倍増中 女子力起業(4) 編集委員 石鍋仁美

2013/8/12

女性に人気の移動式カフェ「おでカフェ」を開発・運営する岡村美佐さん。立て看板やメニューのデザインにも気を配る

イベント会場や商業施設の入り口付近などにカウンターや屋根を仮設し、菓子や飲み物を販売する。4年前、愛媛県の松山市を拠点にそんな移動式カフェを始め、売り上げを年々倍増させている女性が岡村美佐さんだ。商品は多少高くてもおいしく。店構えは手づくり感覚でオシャレに。細かい工夫が女性客を引き付ける。そして菓子などを作るのは、さまざまなハンディキャップのある人たち。使う原料は地元のものだ。感度の高い人を引きつけ、街を楽しくし、社会貢献にもつながるビジネスを目指す。

■客層に合わせて店をつくり替える

店の名前は「おでカフェ.」。「おでかけ」と「カフェ」をかけた造語だ。すてきな名前だと自負するが、看板を見た男性客から「あれ、おでんは無いの? と聞かれたことが、これまで何回かありました」と笑う。

スコーンが「チョコチップ」「黒ごまパンプキン」など各種あり、1個150円。はちみつレモンソーダが1杯300円。そのほかフェアトレードコーヒーや、ケーキの一種であるブラウニーなどを販売する。スコーンはオーブンを持ち込み、その場で焼く。1カ所の店を切り盛りするのは女性2人。岡村さんも店頭に立つ。

イベント会場なら主催者と綿密に打ち合わせ、客層に合わせ仕込む商品や飾り付けを決める。それでも、実際の状況は当日、その場に行かなければ分からない。天気。客の流れ。周辺の店。臨機応変に店をつくり替える。可能であれば場所も移る。

「人通りを見て、ほんの少し店の場所を移しただけで、2日目の売り上げが1日目の5割増しになったこともあります」。若い人が多いと見れば、安めのハーフサイズの飲み物を前面に打ち出す。「POP」と呼ばれる商品説明の張り紙をその場で作ることもある。画用紙は必携だ。

■お客さんと会話するための工夫「仮設カウンター」

イベント会場などに出店する「おでカフェ」

お客さんにはどんどん声をかけていく。移動式カフェというと、スタッフは車の中にいて、窓からコーヒーや菓子を渡す例が多い。「これでは、お客さんと十分な会話ができず、リピーターになってもらうのは難しい」。だからこその、仮設カウンター。屋外では上に屋根を張る。手間はかかっても、会話の機会をつくる方が大事だ。

「あ、前に××(別の会場)にもいたよね」。そんな風に言ってくれる固定ファンも増えてきた。催しを運営する側も工夫と積極性を見ているのか、新規出店の引き合いも多い。最近は、出店の7割は先方からの依頼だそうだ。

あるとき、隣に同様の店を出していた、経験の長い「経営者」が、店舗スタッフをしかりつける声が聞こえた。「隣を見習って、声を出しなさい」。その道のプロに認められた、と心の中でガッツポーズを作った。

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