シルバーウイークも笑って過ごそう

●手術を前に

「あの、先生。私の場合、本当に手術以外に方法はないんでしょうか」

「手術しかありませんな。世間には『なんでもかんでもすぐに切りたがる医者』というのは確かにいますが、私は違います。本当にどうしても必要という時にしか手術はしません」

「今回は必要、ということですね……」

「はい。どうしても新しいベンツに買い替えたいんです」

●中国の小学校で

「日本とは、どんな国かな？」

「はい。わずかな数の富裕層と官僚とが政治を利用して民衆から搾取を続ける、民主主義の何たるかを全く理解していない崩壊寸前の崖っぷち国家です！」

「よろしい。では我が国は？」

「常に日本の一歩先を行く国家です！」

●国家選択の自由

ウクライナのある地域で。各家庭に、ロシアに併合されたいかウクライナにとどまりたいかを調査した。ある年老いた農夫が……。

「あの、本当にどっちを選んでもいいんですか？」

「もちろん構いませんよ」

「では、ウクライナで。お願いします」

「それはどうして」

「ウチのばあさんがいつも言うんです。『ロシアの冬くらい寒いもんはねえよ！』って」

●独裁国家

独裁者が秘密警察長官を呼びつけた。

「ハッ！　元帥閣下、ご用でありますか？」

「ばかもの！　どこに目をつけて日頃の警備をしておるんだ。この執務室にいつも並べてあるロレックスの腕時計が1本盗まれた。即刻犯人を捕まえろ。明日の夜明けまでに犯人を捕まえなければ、おまえを真っ先に処罰してやるからそう思え！」

「うわわ、わ。かしこまりました！」

さて、翌朝。

「閣下、おはようございます！」

「おお。いや、昨日のロレックスな。盗まれたと思ったらこっちの引き出しにしまってあった。俺の勘違いだ」

「お言葉ですが。このたびの盗難事件につきましては昨夜のうちに容疑者を拘束致しまして、厳しい取り調べのかいあって既に自白もさせてあります。この者はいかがいたしましょう？」

「厳罰じゃ」

●必要不可欠

徒歩で砂漠を横断していた男。命からがら水を求めていると、目の前にお店があった。

「み、水を。水を下さい！」

「すみません。この店に水は置いてないんです」

「今にも死にそうなんです。水を！」

「でしたら、この先をほんの少し行くとレストランがありますよ。間違いなく水もあります。では、神のご加護を」

「ありがとう」

「あの、お客さん！」

「はい？」

「ここはネクタイ屋なんですが、せっかくですからネクタイを1本いかがですか？」

「そんなものはいらない！　いま欲しいのは水だけなんだ」

しばらく行くとすぐにレストランが見えてきた。

「み、水。……水は、あるかい？」

「もちろんございますとも」

「ありがたい。水をくれ！」

「申し訳ございません。あいにく当店は格式のあるレストランですのでノーネクタイのお客様はお断りしております」

●速度厳守

首都圏の幹線道路でのこと。なぜか左車線だけが渋滞を起こしていた。原因はノロノロと走っている1台の車。見とがめた白バイが停止を求めると、車内はおじいちゃんおばあちゃんでいっぱいだった。運転席から顔を出したのはとびきり高齢の女性。

「はいはい、おまわりさん。あたし、何かの違反でもしましたか？」

「まずは運転免許証を拝見します。90歳ですか。ご苦労様です。いえ、違反でも何でもありません。ただ後ろを見て下さい。渋滞してるでしょう。周囲の流れに合わせた運転をするのも大事なんですよ。私は、あまりゆっくり走っておられるから、故障か何かと思って心配してお止めしただけです。失礼しました」

「あらま、ゆっくりでしたか？　あたしはいつも制限速度ギリギリいっぱいで走ってるつもりですよ」

「いや、ずいぶん遅かったでしょう。この道路は東京環状です。速度制限はご存じですか」

「もちろん。ほら、そこの標識をごらんなさい。制限速度、16キロってあるでしょ」

「あれは国道16号！　速度標識じゃありません。それより車内の皆さんぐったりしてて口から泡を吹いてる方もおられますが、何かあったんですか？」

「あらら、ついさっき246に入るまではあんなに元気だったのに」

●喫茶店で遭遇

とある昼すぎ。若いビジネスマンが同僚と2人でゆったりとコーヒーを飲んでいたが、突然顔色を変えた。

「うっそ。やっべ！　出よ出よ。この店、すぐに出よう」

「なになに？　何かあった？」

「ここの店の、いま奥に座ってる2人の女性。楽しそうに話してる2人。振り向くなって！　あれ、俺のかみさんと、もうひとりは内緒で付き合ってる俺の不倫相手なんだよ。どうして一緒にいるかなあ」

「マジで！？」

「やばい。すぐ出よう。……って、おい！　どこ行くんだよ」

「ちょっと見るだけ。そっと見てくるから心配するなって」

「やめろよ！」

同僚が戻って来て、

「うっふっふ。見てきた。本当だ。俺のかみさんと、俺の不倫相手だ」

（次回は10月7日の更新予定）