検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

初対面の人に話しかける極意とは

立川談笑

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

 前々回(5月20日付)、この連載で「人は見た目が……」として扱ったテレビ番組「助けて!きわめびと」。私が出演した回(6月6日)の放送が終わりました。予想以上の反響の大きさに驚いています。そこで収録のこぼれ話を披露します。

視聴者が日常抱えるお悩みに、毎回各分野の達人が登場して解決の手助けをするという趣旨のNHKの番組です。今回は私が落語家つまり、しゃべりのプロとして、口ベタで困っている営業職の若者(村田くん)に極意を伝授するというものでした。とんでもなく偉そうで気が引けますが……。

かつて述べた「髪型修正」の効果のほどは確認できたでしょうか。改めてVTRを見ると、初日の段階で村田くんが顔をしかめて首を振る動作はなんと2秒に1回のペースでした。ところが翌朝には、その動作が彼から消えてなくなりました。目の中に髪先が入らないようにした結果です。

ロケ部分を中心に放送内容を振り返ります。

取材初日。これまで営業目標を達成したことが一度もない。ブランド品買い取り店を切り盛りする村田くんの仕事ぶりを観察して、じっくりと話を聞きました。意外にも彼は話は上手だし、接客マナーも申し分ありません。では何が問題なのか。「初対面の相手が苦手」がポイントだと感じました。特につらそうだったのが店頭でのティッシュ配り。道行く人に手渡そうとしますが、ほとんど受け取ってもらえません。打率1割を切るくらい。

取材2日目。苦手克服のためのメーンイベントです。大阪・道頓堀の戎橋(えびすばし)で街頭インタビューに挑戦してもらいました。「休日はどんなことをして過ごしますか?」など。初めての経験ですから、当然村田くんは見知らぬ人になかなか声をかけられません。頑張って話しかけても素通りされる、の繰り返し。

そこで私がアドバイスします。「隙=好き」。相手のガードを下げてもらうには、自分がガードを下げて「隙」を見せる。「好意」が伝われば相手は警戒心を解いてくれる。大きな鍵は「笑顔」にある、と。

その後、少しずつインタビューができるようになり、最終的には話をした相手から「この人、好き」「話しやすかった」という、うれしい反応が笑顔とともに返ってきました。初対面の、しかもほんの5分ほど話しただけの人にこれほどの好印象を持ってもらえるのだと、村田くんは大いに自信をつけたようです。

取材3日目。店舗に戻って、お客様との会話の際の盛り上げ方。これはもう、前日に比べれば細かな話です。長い沈黙をつくらない。たわいのない話題を振る。心をこめて相手の話に共感する。真面目でひたむきな村田くんが細かなアドバイスをみるみる消化吸収していく様子は圧巻でした。店頭でのティッシュ配りは打率7割に急上昇。まるで別人のような変貌ぶりです。

VTRを見ながらスタジオでやりとりをして、そこに村田くん本人が登場して……と楽しい展開があったのですが、そこは割愛しますね。

放送に反映させられなかった部分の補足をします。

街頭インタビューでは3つの目的がありました。

1、道行く人を観察する

断られる経験を積むことで、なんとか断られなそうな人に声をかけようと人選に集中します。話しかけやすそう人、優しそうな人、感じのいい人を探して声をかける。反対の、話しかけづらそうな人、厳しそうな人、怖そうな人は自然と避けるようになります。いわば選球眼の訓練です。

2、自分にフィードバックする

選球眼が慣れてきたら、話しかけやすそうな人のイメージを自分に取り込む。話しかけづらい雰囲気が自分にないかチェックする。

3、傷つくことに慣れる

声をかけた人に冷たくあしらわれるのは、心理的ダメージが強いものです。それでも礼節を尽くしましょう。お邪魔しました。失礼しました。お付き合い頂いた方、貴重なお時間をありがとうございます。わずかな時間ではありましたが、タフな経験を重ねることで彼は人と接する上でずいぶん気が楽になったと言っていました。終わり間際の彼のセリフです。

「無視されるのが一番つらいですね。つらいことはつらいんですけど、気持ちの切り替えができるようになった気がします」

街頭インタビューの話に終始してしまいましたが、ひとづきあいの上で何かのお役に立てたならうれしいと思っています。

「人間なんて弱くてずるいもんだよ」。「失敗したってしょうがないじゃないか」。とは落語の本質、「業の肯定」です。師匠立川談志の言葉を持ち出したのにはわけがあります。今回の放送にあたり、事前の打ち合わせの席でディレクター氏に宣言されました。

「やるだけやってみて、もしも成果がでなかったらそれはそれで『今回はダメでした』で放送しますから安心して下さい」

安心もなにも、超ガチのドキュメントじゃないか!その意気や良しとばかりに、燃えた燃えた。

そうそう。そんな取材から1カ月たって、部門によってはいくつか営業目標を初めてクリアできたそうです。やったぜ、村田くん!

(次回は7月1日更新予定)

 立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二つ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打ち昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>都内での独演会7月14日8月18日、吉笑(二つ目)、笑二(同)、笑笑(前座)の弟子3人とともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会は6月27日、7月26日、8月28日の予定。
立川談笑HP http://www.danshou.jp/

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_