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ベトナムvs.ギョーザ・ピザ 師弟対決の軍配は

立川談笑

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NIKKEI STYLE

 かつてここで談志の「冷蔵庫カレー」の話をしました。余りものの食材を手当たり次第に投入する闇鍋のようなカレーです。今回はいわばその続編。食にまつわるよしなしごとをつづります。

まずは談志の話の続きから。練馬の家に弟子が大勢集まっているとき、談志が振る舞う料理としてカレー以外にもうひとつ名物がありました。

「ベトナムでもやるか」

そんな時の師匠は、ずいぶんリラックスして上機嫌な表情です。懸案だった片づけや雑事をすっかり処理した晴れやかさもあるのでしょう。ベトナムとはたぶん談志がそう呼んでいただけ。ベトナム風生春巻きのことです。

そうと決まると、すぐ隣りにあるスーパーで食材をどっさり買い込みます。まずはライスペーパー。20年前には生春巻きなんてかなりマイナーで、初めて見る私はこんなものが売っていたのかと驚きました。

メインは大量の野菜です。レタス、キュウリ、ニンジン、セロリ、タマネギ。さらにパセリ、ニンニク、ニラ、レモン。ここにひき肉、エビ、春雨とくると今やおなじみの生春巻きですが、そんなものは入らない。あくまでも野菜ばっかり。

洗って刻んだりスライスしたり。食卓には、山盛りの野菜が大皿にドドーンと並びます。いったい誰が食べるんだ?というほどの量に圧倒されます。

「それいけー」

ライスペーパーを霧吹きで湿らせて、手当たり次第に野菜を載せてくるりと手巻きにしたらスイートチリソース(のようなもの)につけてパクリ。大量の野菜ばかりを大勢が同時に食べるので、ダイニングテーブルの周辺はバリバリボリボリという音であふれます。

思い思いにあちこち手を伸ばして、いろいろな組み合わせを試してみるのが楽しい。皮ごとスライスしたレモンや生ニンニクスライスは過剰に入れるとつらい。細かく刻んだナッツ類は香りも食感もいいアクセントになります。なんとも非日常で、祭りに似た楽しさでした。

ここからは私の話。談笑一門でも弟子たちを招いた食事会をすることがあります。頻繁に催すのがギョーザ大会。家庭で作る手作りギョーザが好きなのです。野菜は粗く刻んで、皮は市販の薄いもの。また家でなら「ギョーザで生ビール問題」に悩まされることもありません。名付けて「ギョービーのジレンマ」は、私の身近では深刻な議論になりました。

「喉も乾いたし、ギョーザをつつきながら冷たい生ビールをキューっとやっていくか」

と中華屋さんに立ち寄ったとします。「ギョーザと生ビール」と注文をすると確実に生ビールが先に運ばれてきます。ジョッキが空になる頃、ようやくギョーザが到着。これは残念です。ギョーザを待ってビールがぬるくなるのも同じ。さあ、このタイムラグをどう克服するか。

「先にギョーザだけを注文してビールは後で追加する」という戦術が考案されて解決をみそうでしたが、現実では目の前にまず水が運ばれてくるという落とし穴がありました。ギョーザが焼きあがるまでの時間、「この渇いた喉には冷たい生ビールを流し込みたいんだよ。この水には手を出しちゃダメだ」と葛藤にさいなまされるのです。

結局、「ギョーザを1人前。後でビールを頼むから、お水はいりません」という、ちょっとこだわりの強い客にならざるを得ないと。それでも「ちゃんと言ったんだけど、すぐ生ビールが出てきちゃった。そこの店員さんが中国人みたいで話がよく伝わらないんだよ」なんて話もあったりして。

さてさて。ギョーザ大会に話を戻します。何度か催しているうちに、気が付いたら弟子だけじゃなくて、よそのお弟子さんや三味線のお師匠さんも参加する謎の大会と化していました。

最近のブームはチーズギョーザです。包むときにスライスチーズをひとかけ入れるとぐっと味に深みがでます。とはいえギョーザばかりを200個以上も延々と焼き続ける(食べ続ける)のもあまりに馬鹿馬鹿しいので、このごろはギョーザ大会は中華大会に発展吸収されました。

ピザ大会もやります。生地から仕込むので手間と時間がかかります。前の晩から一次発酵、二次発酵と。どうせ同じ手間だったら量が増えても一緒だとばかりに、たっぷり作って弟子たちにも声をかけることにしたのです。

ピザを家で作る理由はいくつかあります。まずは、イタリア人の職人が薪窯で焼き上げたピザにタバスコをかけて食べたい。たかだかこれだけですが、一番の動機です。ご存じの通りイタリア料理店には、まずタバスコは置いてありません。こっそり持ち込むのも気が引けます。ならば宅配でと、本格イタリアンのデリバリーを試しました。確かに本格!だけど焼き立ての感動が薄れて感じられるのです。タバスコのある自宅で本格風を焼き立てで求めるなら、自分で作るしかない、と。

もうひとつの理由は価格です。なんかピザって高くないか?という素朴な疑問。手作りにすると材料費くらいしかかからないので当然安上がりです。

ここで窯はどうするのかという問題が残りますが、もちろん使いません。ざっと手順を説明します。生地を伸ばしてフライパンに広げます。油はひきません。ソースや具材を載せたら強火で1~2分。下が焼けたら魚焼きグリルに移して今度は上から強火で焼き上げる。これも1~2分。これだけですが上々の出来です。

魚焼きグリルに収める必要があるので、小さめサイズ。ルッコラや生ハムなどの後乗せ具材を思い思いにあしらって、出来上がり。小さくて次から次へと出てくる様子から、「わんこピザ」という名がつきました。

その後、サイズを大きくするために魚焼きグリルに替えてバーナーを導入しました。市販のガスボンベにトーチという噴射燃焼装置を取り付けたもので、ピザの上半分を直火で一気にあぶるのです。こちらは勇気と慎重さといくらかの熟練が必要かも。魚焼きグリルでのわんこピザの方が無難だといえます。

そういえばギョーザ、ピザと粉ものが多いことにたった今気づきました。脂肪と炭水化物がたっぷり。それに比べて「ベトナム」のヘルシーなこと。師匠、さすがです。

(次回は9月23日に更新予定)

 立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>都内での独演会9月16日、10月6日、11月3日、吉笑(二ツ目)、笑二(同)の弟子2人とともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会は9月25日、10月25日、11月27日の予定。
立川談笑HP http://www.danshou.jp/

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