
2012年が幕を開けた。新年といえば縁起物。日本一の山、富士山は定番の一つだ。ところでこの「日本一」、読者の皆さんは何と読みますか? 「ニホンいち」? それとも「ニッポンいち」? 新年最初の探検隊は、この「日本」問題を探った。
「東日本」にも2つの読み
まずは「日本」を探しに街に出た。日本の国道の起点となっている東京・日本橋は「ニホンばし」と読む。大阪にも日本橋はあるが、こちらは「ニッポンばし」だ。
少し歩くとJR地下駅の出入り口があった。新日本(ニホン)橋駅。管理しているのはJR東日本(ニホン)だ。東京駅側に歩くと、東日本銀行の看板が見えた。こちらは同じ東日本でも「ニッポン」だ。
東京駅の地下に向かう。八重洲地下街にあるマクドナルドとケンタッキー。運営会社の名前は日本(ニホン)マクドナルドホールディングスと日本(ニホン)ケンタッキー・フライド・チキンだ。一方、精肉売り場をのぞくと「日本ハム」の商品が並ぶ。こちらは「ニッポン」と読む。
書店に入ってみた。新書コーナーを物色すると、タイトルに「日本」が付く本は結構ある。奥付にふりがなが振ってある本を見比べてみると、「ニホン」も「ニッポン」もある。例えば少し前に話題となった、ケビン・メア「決断できない日本」(文春新書)。これは「ニッポン」だ。同じ文春新書でも、平積みされている「日本人の誇り」(藤原正彦著)は「ニホン」となっていた。
「ニホン」と「ニッポン」、両方の読み方がある新書が多いなかで、すべて「ニホン」の新書シリーズがある。新潮新書だ。同じ新潮社でも新潮文庫の方には「ニホン」も「ニッポン」もあるのに、なぜだろう? 新書独自のルールがあるのだろうか? 編集部に聞いてみた。
「改めて調べてみると、確かにすべて『ニホン』ですね。でも編集部内で議論したことも特に意識したこともありません。編集長にも確認しましたが、社としての方針も特に聞いたことがないようです」。同社によると、新潮新書の中で題名に「日本」が付くのは43冊。これだけあってすべて「ニホン」とはちょっと不思議だが、特に理由はないようだった。