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東京ふしぎ探検隊

地下街レトロ対決 消えた神田、現役最古は… 東京ふしぎ探検隊(11)

2011/10/7

現役最古の地下街「三原橋地下街」は銀座の異空間

地下の謎を様々な視点から解き明かしてきた「東京ふしぎ探検隊」。今回は古い地下街に焦点を当てる。調査の結果、日本で最初の地下街は東京・神田にできたことがわかったが、その場所に行ってみるとなくなっていた。現存する中で最も古いのは東銀座にあり、その歴史は日本の戦後復興と重なり合う。古い地下街を巡る物語を追った。

■国内初の地下街は神田、10銭ショップもあった

日本初の地下街誕生の裏には、1人の男の存在があった。早川徳次(のりつぐ)。「地下鉄の父」とも呼ばれた人物だ。シャープの創業者、早川徳次(とくじ)とは字は同じだが別人だ。

早稲田大学を卒業後、南満州鉄道(満鉄)に入社した早川は、当時の総裁、後藤新平に師事する。後藤が総裁辞任後は鉄道院や民間の鉄道会社を転々とし、ロンドンの地下鉄を視察したのを機に地下鉄建設にのめり込む。大隈重信、渋沢栄一らの支援も得て1927(昭和2)年、上野―浅草間で日本初の地下鉄を開通させ、1931年には神田、1934年には新橋まで延伸した。

現存する古い地下街ランキング
名称所在地開業年月
1三原橋地下街東京・東銀座1952年12月
2浅草地下街東京・浅草1955年1月
3サンロード名古屋1957年3月
4新名フード名古屋1957年7月
5栄地下街名古屋・栄1957年11月
5メイチカ名古屋1957年11月
5伏見地下街名古屋1957年11月
8渋谷地下街東京・渋谷1957年12月
9NAMBAなんなん大阪・難波1957年12月
10アピア札幌1958年7月
11フェスタ地下名店街兵庫・姫路1959年11月
12ペスカ岡山岡山1959年12月
13千種地下街名古屋1960年6月
13今池地下街名古屋1960年6月
15ダイナード名古屋1963年3月
16ミヤコ地下街名古屋1963年9月
17ホワイティうめだ大阪・梅田1963年11月
18ルミネエスト東京・新宿1964年5月
19池袋ショッピングパーク東京・池袋1964年9月
20博多駅地下街博多1964年11月

都市地下空間活用研究会の粕谷太郎・主任研究員が作成
300平方メートル以上の地下街を対象とした

早川は沿線に劇場や百貨店などを配置した阪急の小林一三にならい、地下鉄の駅に食堂や店舗を設けた。なかでも地下街の原型といえるのが、1931(昭和6)年に開店した上野駅の「地下鉄ストアー」。食料品や菓子、雑貨、おもちゃなどを手掛け、店内には「他の店に比べて、もし高い品がありましたら、我々のモットーに反しますので、その場で1割増しにて買い取ります」とのポスターがあったという(中村建治「メトロ誕生」交通新聞社)。

上野の成功に自信を深めたのか、早川は神田駅にも「神田須田町地下鉄ストアー」(須田町ストア)を出店する。1932(昭和7)年のことだ。これが日本初の地下街といわれている。上野の「地下鉄ストアー」は駅ビルの地下にあり「デパ地下」のようなもの。これに対し神田では地下鉄の改札を出て出口に向かう通路に店舗が並び、まさしく地下街だった。

「メトロ誕生」によると、この地下街には「地下鉄市場」という店があった。店内の品物はすべて10銭均一と今の「100円ショップ」のような商法だ。実は昭和恐慌が襲ったこの時期、全国で「10銭ストア」が大流行した。1930(昭和5)年に高島屋が大阪で始めたのがきっかけといわれている。「高島屋150年史」によると、1931年には全国で51店舗をチェーン展開していた。米国の「10セントストア」にならったといわれ、日本では「テンセンストア」とも呼ばれたという。日本初の地下街にもこの波が押し寄せたわけだ。

ちなみに浅田次郎の小説「地下鉄に乗って」では、主人公の勤める衣料品会社は神田駅の地下鉄ストアの中にある設定。作中、須田町の地下街について「盛時には三十数軒もひしめいていたという店舗のほとんどは、無意味な空間になっている」との描写がある。古びた雰囲気が小説の味を引き立てた。

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