●再現性
これまで身に付けたスキルや成果を挙げた手法を、別の場所でも再現できるかどうかを見極める必要があります。今の会社では高い評価を受けていても、一歩会社の外に出ると通用しなかった……という残念なケースは少なくありません。
再現性とは「同じことを繰り返しできる」ではなく、「環境やリソースが変わっても同じ成果へ導くことができる」ことです。
特に、大手企業に長く勤務している方は要注意です。大手企業の組織構造上、管理職以上になると、発揮できる価値が「社内人脈の活用」や「社内調整」となっている方が多数見受けられます。そうした手腕はその会社内では効果がありますが、社外には生かす場所がありません。
現場に戻って手足を動かそうにも、時代が変われば手法も変わっています。また、管理職としてのマネジメント経験を生かそうとしても、以前の主流だった「トップダウン」式はすでに通用しなくなっています。
このように、いつの間にか「再現性」が失われたことで転職活動に苦戦している大手企業出身者が大勢いるのが現実です。この先、強いキャリアを築いていこうとするなら、上記3つの観点を常に意識し、時々自身のキャリアの現状を見つめ直すことをお勧めします。
※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。
森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「マンガでわかる 成功する転職」(池田書店)、「トップコンサルタントが教える 無敵の転職」(新星出版社)ほか、著書多数。
