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歴史博士

龍神伝説にあやどられた清流と洞窟 室生龍穴神社(奈良県宇陀市) 古きを歩けば特別編・水景を愛でる(2)

2012/9/4

谷あいの清流を前にぽっかりと口を開ける吉祥龍穴(奈良県宇陀市)

耳を澄ませば、滝から続く清流の瀬音と、しみいるようなヒグラシの合唱。気温は街中より2、3度低いだろうか。だが、涼しさは体感的なものだけでなく、りんとした雰囲気による部分も大きいと思える。奈良県宇陀市の室生山にある室生龍穴神社の吉祥龍穴と、前面に落ちる滝「招雨瀑(しょううばく)」の前にたたずむと、思わず背筋が伸びる。

雨乞い神事の記述が「日本紀略」に

奥拝殿から見る招雨瀑。巨大な岩盤の上を水流が滑ってゆく

龍穴神社は、「女人高野」として知られる室生寺のほど近くにある。8世紀、皇太子だった桓武天皇が病に伏せた際、平癒祈願のため室生の龍穴で祈祷(きとう)が行われたといい、これが吉祥龍穴ではないかとされる。この祈願のあらたかな利益(りやく)から、勅命で創建されたのが室生寺だという。龍穴神社の創建年代は定かでないが、こうした経緯から「龍穴神社の歴史は室生寺より古い可能性がある」(宇陀市教育委員会)。

社の前を流れる室生川は最終的に淀川となって大阪湾に注ぐ。その水源に鎮座する同神社の祭神は雨や雪をつかさどる神として崇敬を集めた。平安時代の歴史書とされる「日本紀略」には9世紀初頭には既に、雨乞い神事が行われたとの記述がみられる。

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