鳥獣に乗る菩薩と13歳の願い古きを歩けば(53) 観智院(京都市)

2013/5/14

歴史博士

獅子、象、馬、孔雀(くじゃく)。動物園の光景ではない。インド神話の鳥類の王、迦楼羅(かるら)も加えた5体の像が、背中に智恵をつかさどる菩薩(ぼさつ)を乗せている。京都市南区の観智院は、鳥獣座に乗る珍しい五大虚空蔵菩薩像の本尊で知られる。

鳥獣座に乗る珍しい形式の五大虚空蔵菩薩。左から迦楼羅、孔雀、馬、象、獅子(京都市南区)

東寺の塔頭、真言宗の勧学院

観智院は東寺の塔頭(たっちゅう)寺院で真言宗の「勧学院」、つまり研究所的な施設だ。真言密教の教義や仏像の印相の資料などは1万5千件を超え、徳川家康が黒印状を与えて勧学院として認めた。

智恵と福徳を授かるという十三参りに訪れた少女たち

虚空蔵とは広大無辺の智恵を無尽に蔵していることを指し、空海もこの仏に祈り、強大な記憶力を得たとされる。その智恵の仏が乗る鳥獣にも、それぞれ意味があるという。

「迦楼羅は決して落ちない鳥の王で、ガルーダ・インドネシア航空もそれにちなむ。孔雀は毒蛇を食べ、悪いものを浄化する。馬は王の乗り物。象はヒンズー教で障害を除くとされるガネーシャ神に由来し、獅子は強さの象徴」。東寺総務部の山下泰永拝観課長はそう解説する。