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豪州、「女性幹部5割」への挑戦 男性の支援生かす

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NIKKEI STYLE

 オーストラリアの主要上場企業が加盟する経済団体、豪ビジネス・カウンシル(BCA)は、上級職の女性比率を10年以内に50%に高める計画を策定した。足元の比率は2割に満たない。現状打破を目指す豪州の挑戦を追った。

トニー・シェパードBCA会長は昨年11月、約120社の加盟企業の最高経営責任者(CEO)に手紙を出した。「経済成長に向けて行動を開始しよう」。男女の多様性がもたらす業績への好影響は明らかだとして、女性活躍推進に向けた10の行動指針も送付した。背景には、各社個別の取り組みでは、女性取締役が思うように増えていない現実がある。

「経済活動の主要な担い手」

2011年、豪証券取引所(ASX)は全上場企業に数値目標を含む多様性の推進施策の報告を義務付けた。12年には連邦政府が従業員100人以上の企業に女性の昇進に関する報告を義務付ける職場ジェンダー平等推進法を制定した。同国では大卒者の6割、会社員の52.6%が女性。ところがASX上場主要200の女性役員比率は17.6%にとどまる。

豪州は高齢化も進展している。アボット首相は働く女性を支援する有給育児休業制度の充実を図る構え。女性は経済活動の主要な担い手との認識だ。豪は移民国家として「公平な機会」を重んじる国。高い教育を受けた女性が活躍できる環境整備が急務だ。

シドニー中心部のオフィス街。オードラ・エンさん(41)は、ソフトウエア開発のアトラシアン社で製品管理部門の副社長として34人の職場を束ねる。「お人形よりレゴが好きで、9歳でコンピューターのプログラムを書いていた」という自称「技術オタク」。「男性中心のIT業界で、どう意思決定にかかわるか」など悩みもあるが「女性を支援する企業風土に助けられている」と語る。

人材競争に勝つために

同社は02年、男子大学生2人が創業。従業員700人の25%が女性で、13年には民間団体の「最高の職場」調査で2位に選ばれた。社会貢献活動にも熱心。アジアの発展途上国の女子教育支援のため寄付金は1月末に累計300万ドルに達するなど、「女性の支援者」(スコット・ファークワーCEO)を自認する。

米マイクロソフトや独BMW、日本の楽天など135カ国以上の企業を顧客に持ち、ベトナムやフィリピン、日本などに開発や販売拠点を拡大している。女性の活用は「アジア太平洋の人材競争に勝つ」(同CEO)ための布石でもある。

男性の支援を生かす取り組みも始まっている。

「男性の変革チャンピオン(MCC)」は10年4月、豪人権委員会・性差別担当コミッショナーのエリザベス・ブロデリックさんの働き掛けで発足したグループ。通信最大手のテルストラやカンタス航空、コモンウェルス銀行など主要企業の男性CEOら21人が集まり、指導的役割に就く女性を早急に増やす方策を話し合っている。

「システム変えるのは男性」

目標は「男性がシステムを変える」こと。現在の組織や制度を作り運用しているのは男性で、それを変えるのも男性という考え方だ。

定期的に会合を開き、女性活躍に向けた知見を学び合う。女性役員がゼロの企業幹部を招いて女性活用の進捗を聞き、全豪の企業トップらにあてて女性の役員増加を促す手紙を15万通送った。

ブロデリックさんは「MCCのある男性は講演依頼を了承する際、講師や聴衆に女性が相当数いるかを確認する。年300億ドルの購入予算を持つ別の男性は、取引先を柔軟な働き方を導入しているかどうかで選ぶ。こうした影響力は多大だ」と話す。そのうえで「男性の熱心な支援なくして、女性の社会進出は前進しない」と強調する。

(高橋香織、黒沼勇史)

◇            ◇

「数値目標」の是非、ダボス会議でも議論

1月下旬に開催された世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でも、一定数の女性幹部の登用を促すための数値目標やクオータ制(割当制)の是非が議論された。

「条件を満たさない人を引き上げれば、いずれ逆噴射が起きる」と問題提起したのは、イスラエル中央銀行で初の女性総裁となったカルニト・フルグ氏。大手会計事務所、アーンスト・アンド・ヤングの公共政策担当の女性副会長、ベス・ブルック氏は「米主要500社のうちCEOが女性なのは3%。もっと上げるべきだ」としつつも、方法論としては「クオータ制に賛成しない」と明言した。

これに対し、国際通貨基金(IMF)のクリスチーヌ・ラガルド専務理事は別の会議で「クオータ制には反対だったが、『女性だから昇進は期待できない』と言われた時、目標がないとダメという考えに変わった」と述べた。日産自動車とルノーのCEOを兼務するカルロス・ゴーン氏は「日産の女性管理職比率が2%と知って数値目標を導入した。今では8%になった。目標設定は行動を起こさせる」と打ち明けた。

世界のリーダーの発言を国内の識者はどう見るか。

「私もクオータ制に反対だったが、変化のスピードが遅い日本の現状にラガルド氏と同様、考えが変わった」。ウーマノミクスの先駆的なリポートで知られるゴールドマン・サックス証券のキャッシー松井氏は「勢いをつける初期段階のツールとして、期間を限定して使えばいい」と提案する。

だが海外のクオータ制に詳しい慶応義塾大学の鶴光太郎教授は「強制すれば資質を伴わない管理職を増やし業績悪化にもつながりかねない。導入すべきでない」と譲らない。「イメージ向上のためだけに目標を掲げる経営者も出てきた」

安倍政権が発足して1年余り。日本経済の発展に女性の活躍は不可欠との認識は浸透してきた。ただ上場企業の女性役員比率は先進国がほぼ10%以上なのに、日本は2%弱という現実。昭和女子大学長で、大企業の社外取締役も務める坂東真理子氏は「数値目標に副作用が伴うのは確かだが、マイナス面の議論ばかりしていては何も変わらない」となげく。

数値目標を特効薬ととらえるか、副作用を気にするか。日本の企業社会は判断を迫られる。

(女性面編集長 阿部奈美)

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