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仕事場は森 将来見据える「林業女子」の選択

2013/11/23

就職先に「森」を選ぶ女性たちがいる。癒やしや田舎暮らしへのあこがれではない。森の仕事に将来性を見いだし、積極的に山に飛び込む。「林業女子」の選択を追う。

チェーンソーを木の根元に当てた瞬間、細身の彼女から山で生きる覚悟が伝わってきた。がに股で、体とチェーンソーを安定させると、轟音(ごうおん)とともに木を切り出した。

間伐作業を行う東京チェンソーズの大塚潤子さん(東京都檜原村)

損をしない、もうかる形を作りたい

森林保全を業務とする東京チェンソーズ(東京都檜原村)に今春入社した大塚潤子さん(29)。父は大学教授、母は主婦。まつげをカールした姿から、チェーンソーを担ぐ姿は想像できない。しかも、出身は東京大学だ。農学部で森林について学んだが、林業を仕事にする考えは毛頭なかった。

新卒で就職したイベント会社に4年勤めた。東京・中目黒に住み、電車で職場に通う日々。仕事に満足感がないわけではなかった。ただ「3年たったら、もう一度やりたいことを見直そうと考えていた」。浮かんだのは学生時代に見た理想と現実の乖離(かいり)に苦しむ林業の現場だった。伐採期を迎えた山は、人手が少なく荒れていた。

大塚さんのお弁当

「私は現場の役に立てないか」。そう思ったとき、林業ベンチャーの東京チェンソーズを知る。新入社員の募集はなかった。それでも履歴書を送り、熱意をアピールした。「こんなのは初めて。社員全員で議論しました」(東京チェンソーズの木田正人さん)。今年5月、就職がかなった。

朝5時半に起き、山に向かう。荷物が重く、しんどいときもあるが、都会の満員電車の方がつらかったかもしれない。

木は根元を切ってもすぐには倒れない。ロープで引っ張りいかに横倒しにするか。コツをつかもうと懸命に修練を積む。「都会の人と山をつなぐ仕事にしたい。山で損をしない、もうかる形を作りたい」。理想をかなえるには、まず仕事を覚えることという思いが挑戦を支えている。

山の将来、私が守る

木を切るだけが森への就職ではない。北海道層雲峡地区で森林パトロールをする今広佐和子さん(26)は、林野庁の森林官として森の管理に当たる。数十年後の森を守るため、伐採のしすぎや粗い植林に目を光らせる。年上の林業者への指摘は気が引けることもある。だが「山の将来に責任を負っている。毅然とした態度を取らないと」。

行政の立場から森林に関わりたいと、国家公務員1種採用試験を受験。合格後、林野庁に入った。友人に頻繁に会えず寂しいこともあるが「春は花が咲き、秋は美しく葉が色づく。自分がこんな場所を守れるのは幸せ」と語る。

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