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女性ポリス、第一線走る 「男社会」に風穴

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NIKKEI STYLE

 「男社会」の代表格ともいえる警察組織。女性警察官は全体の7%に満たないが、先駆者は困難をしなやかに乗り越え、第一線で奮闘している。性犯罪の被害者や被災者のケアを手厚くしようと、組織も女性の活用に本腰を入れ始めた。

横浜港に臨む神奈川県警本部。危機管理対策課といういかめしい名称の部署で、警部補の岡崎洋子さん(46)は働いている。

係長として地震・津波対策などを担う。部下6人は全員男性で、機動隊で数十人の部隊を率いた経験などを持つ猛者ぞろいだ。きゃしゃな岡崎さんは笑顔を振りまきながら、てきぱきと仕事を割り振る。

大学生と中学生の2児の母。東日本大震災を受けた災害警備実施計画の見直しにはその視点も反映させた。大規模災害時の職員参集先について、自宅と勤務地の距離が20キロ以上の場合、最寄りの警察署でも可能、と変更したのだ。子どものいる職員の負担などを考慮した。「自宅近くなら、子どもが心配になればいったん戻ることもできる」

1986年に警察官になった。採用後の研修で教官を務めた先輩の女性は「教室で机に顔を伏せさせて『結婚したら辞めるつもりの人は手を挙げて』と聞くと、洋子ちゃんは手を挙げたのよ。ここまで続くなんて」と感慨深げに話す。

転機になったのは99年秋の文書審査係への異動。県警が不祥事に揺れた年で、内部規定の改定が急務だった。徹夜が続き、第2子の出産直前の2000年夏に過労で倒れるほどだったが、文書の作成能力や企画立案力を「がっちり鍛えられた」。自信と覚悟を深めた。上司の一人は岡崎さんを「専門知識の宝庫。その上で女性の視点を生かしてくれる」と評価する。

働き続けられたのは、家庭との両立で「恵まれていた」(岡崎さん)という事情もある。刑事や交通など幅広い部署で働いたが「自分の場合は出産や育児に周囲の理解があった」。県警職員の夫は比較的定時退庁しやすい部署に所属しており、家事も分担できた。

だが、同期の女性31人は半数が既に退職した。全国の警察はここ10年、毎年1000人以上の女性を採用しているが、毎年400人以上が辞めていく。女性警察官の夫は約7割が警察職員。警察庁の有識者検討会が今年5月にまとめた報告書は、結婚時などの退職を当然視してきた警察の組織風土を批判し、「女性を対等な仲間と認識する必要がある」とした。

全国の1174警察署の中で、女性署長は3人だけ。その一人で、兵庫県警神戸水上警察署(神戸市中央区)の署長、増田優子さん(58)も厳しい環境に身を置いてきた。子育ては育児支援制度が未整備の時代。民間企業勤めの夫の協力も得ながら、生後間もない子を無認可の保育施設に預け、猛烈に働いた。

その中で、心のよりどころになったのが女性同士のネットワークだ。きっかけは、警察庁が89年に初めて採用した女性キャリアの田中俊恵さん(47)が94年、滋賀県警の防犯少年課長に就いたこと。就任を祝う会が同年、京都市で開かれ、近畿圏から増田さんら女性警察官約30人が集まった。

その後、食事会や小旅行など会は定例化。増田さんは「仕事のことや家庭との両立のことなど、悩みを共有し合える貴重な場」と話す。参加者も年々増え、地域を越えた女性ネットワークが広がっていった。

ただ現在、会は休止状態。幹部級のメンバーが増え、会発足のきっかけとなった田中さんは今夏、女性初の県警トップとして岩手県警本部長に就任した。それぞれ、持ち場を離れるのが難しくなっている。

自主的なネットワークに代わる仕組みづくりを始めたのが警察庁だ。9月5日。山梨県警の女性警察官ら約60人が集まった。幹部が女性警察官の登用拡大の意義などを説いた後は、本音を語る「女子会」が始まった。

この交流会は今年始め、東北や近畿などで10回ほど開いた。仕掛け人は同庁人事課課長補佐の永井幹久さん(33)。「警察の中に女性同士の横の関係をつくりたい」と語る。背景には、20~30代の女性警察官が、悩みを相談できる同僚や将来設計でお手本になるような先輩を見つけられず、孤立しがちだとの危機感がある。

女性の被害者や被災者に優しい警察になれるかは、働く女性にも優しい組織になれるかにかかっている。その土台になるのは、パイオニアたちの努力だ。

ストーカー・DVへの対応期待

警察庁によると、全国の警察官約25万6700人のうち、女性は1万7686人(2012年4月時点)と6.8%。6.9%の韓国と並ぶが、ドイツの15.3%や米国の11.8%には及ばない。

一方で、女性警察官が活躍すべき場は広がっている。大半が女性被害者であるストーカー事案はここ10年で約1.5倍に、ドメスティックバイオレンス(DV)も約3倍に急増。被災地でも、女性警察官の柔らかな応対を求める声が多い。

「警察への相談者の4割、被害者の3割は女性。警察官の圧倒的多数が男性という偏った構成で国民の声を真に受け止めてきたのか」。警察庁の有識者検討会は5月の報告書で指摘した。

これを受け、同庁は女性の積極登用や、育児支援の強化など女性が働きやすい職場づくりを柱とする通達を都道府県警に出した。23年4月までに女性警察官の割合を10%程度に引き上げる従来計画を前倒しで達成し、さらに高い目標を設定するよう求めている。

警察と同様に危険業務もある消防職員の女性の割合は2.4%、海上保安官は4.3%、自衛官は5.4%。警察が「お手本」になれるのか、注目が集まりそうだ。

(桜井陽)

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