共働きパパの悩みと本音 仕事と子育て覆面座談会

Aさん 大手企業研究職。40代前半、3児の父。妻は総合職で共働き。「妻と育児家事分担の比率は私3対妻7くらい」
Bさん 中央官庁勤務。30代半ば、3歳と1歳の2児の父。妻は元メーカー勤務で今は専業主婦。「働く女性支援が充実する一方、専業主婦の妻は生きにくそう」
Cさん 人材サービス会社勤務。30代前半、4歳と0歳の2児の父。妻は保育士で、現在育休中。「妻の家事の段取りの良さにプレッシャーを感じる」
Dさん コンサルティング会社勤務。30代半ば、1歳児の父。妻はサービス業で時短勤務中だが残業が多い。「子どもの保育所からの第一連絡先は僕」
男性の育児参加に必要なことを書いた参加者

子育てのために目標下げた

――育児に対して職場の理解はある? 抵抗勢力はいる?

Aさん 「私生活を持ち込むなと言う人はいた。子どもの迎えのために毎日職場から早く帰っていたら、上司が夕方からの打ち合わせをセットしてきた。出ないで早く帰ると、同僚たちの前で怒られた。その上司とは5年間戦った」

Dさん 「働き方が個人商店に近いので、職場でハラスメントは受けない。ただ今年は子育てに力を入れたいので、売り上げ目標を下げた」

Cさん 「妻が育休を取れないから夫が取ったという人はいるが、積極的に取れという文化は職場にはない」

――社内の男性で育児休業を取る人はいる?

Cさん 「誰か男性が取らなきゃいけないという動きはあった。最近やっと第1号が出たところだ」

Dさん 「うちの男性育休第1号はフランス人。子育てに参加したいから休むと言っていた。やはり文化の違いがある」

1カ月の育休、いい経験に

Bさん 「昔は全くいなかったが最近増えてきた。私は1カ月間取った。妻の実家で2~3週間過ごし、義父、義母と一緒に家事をしたり、話したりといい経験になった」

Aさん 「私は2人目のときに11日、3人目は19日連続で有給休暇を使って休んだ。ただ人事部から、厚生労働省が育児支援に積極的な企業を認める『くるみんマーク』を取りたいので、実績のため1日だけ育休にしてほしいと言われた。人事部長には女性が働きやすい環境でもないのに見せかけでは、どんなビジョンなのかと質問した。すると会社としての取り組みの説明に納得できたので、妻に内緒で1日分を、給料の出ない育休にした」

Dさん 「くるみんマークを取っているかどうかで入札の点数が変わるので、企業は形式だけでもとりたいのでは。でも有給が消化できていない人にとっては有給で休む方が得」

――政府は男性の育休取得率を上げようとしている。企業が取り組みを進めるのは意味があるか。

Bさん 「育休自体の取得率を上げる必要はないと思う。有給休暇が余っているのに、育休で給与が減ってしまうのではメリットはない」

Cさん 「まとまった時間、家事・育児をするために休みを取れるといい。奥さんの気持ちが分かるようになるのが利点だと思う」

Aさん 「ウチは週2回、ベビーシッターに来てもらったことがある。保育園の迎えや遊んでもらって、その間に料理とかできるのでいい。自治体の補助などがあるからそれほど高いわけではない。そんな支援策も充実すればいいと思う」

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男性の育児 職場で配慮を ~取材を終えて~

今回の座談会で印象的だったのは司会から「自分のことをイクメンだと思うか」と質問したところ、参加者はしばらく沈黙。次々に出てきたのは「共働きなら家事育児をやらないなんて、考えられない」という答えばかりだったことだ。

共働き世帯は増え続け、1990年代後半に専業主婦世帯の数を超えた。2017年には専業主婦世帯の2倍に近い数となっている。女性の労働市場への参入が進み、夫婦で役割を分担しながら家庭を築いていることが浮き彫りになった。

夫婦ともにフルタイムで働きながら子育てをするためには、職場が長時間労働を強いるようではやっていけない。企業は人口減少下でも人手を確保したいのなら、職場で子育て中の社員に配慮すること。また、それぞれの生活を充実できるような働き方改革を進める必要があるのではないだろうか。

(矢崎日子)

[日本経済新聞朝刊2018年3月5日付]