校長に聞く、コロナで変わる教育 自律学習IT後押し「これからの学びのカタチ」 前編

「与えられるだけの消費者になってはいけない」

桜井 頑張っちゃダメなんですかね? とはいえ頑張っちゃいませんか?

日野田 僕らが気持ちよくなるために頑張ってしまうと話がおかしくなるので、そこですかね。生徒が自分たちで気づくように我々は頑張るべきだと思うんです。

桜井 自分の力で気づくのではなく、学校から与えられるだけの消費者のような感覚になっている生徒や保護者が多いかもしれません。自分のことを反省しながら言っています。

工藤 自分が優秀になるためにはどこか優秀な塾に入って、優秀な先生に習ったら勝手に成績が上がるって勘違いしている子供たちがいっぱいいるわけです。サービスって与えられ続けると、サービスに慣れてくるのでもっといいサービスをくれとなるんです。もっといいサービスがあるに違いないと思い込むんですよね。それでサービスの質に不満を言うようになるんです。あれがいいとか悪いとか。その時点でもう当事者意識を失っているので、能動的に動かなくなるんですよね。

日野田 工藤先生とまったく同じ考えです。常に何かしてもらえると勘違いしていると、大人になってからも会社が何とかしてくれると思ってしまう。だから、ある日突然会社が傾いてしまったら、もう大変。そうではなくて、自分がどうやって学校や社会に貢献するのか。自分にしかできないことは何かというのに気づくことこそが、「当事者意識」「オーナーシップ」ですよね。自分の人生のオーナーシップを持っている人は、自分で何とかしようと動くと思うのです。

日野田直彦校長(武蔵野大学中学・高校、武蔵野大学付属千代田高等学院)

工藤 今私が校長を務めている横浜創英は行事や部活が盛んで、教員と生徒がとても「密」につながっている、いわゆる日本的ないい学校なんです。でも、コロナでその長所が奪われてしまった。だからこそ、教員には子どもたちが当事者になるようなメッセージを発してもらいました。今できるベストを尽くしましょうと。選択肢としてはオンラインしかない。新たなカリキュラムを作る、つまりもう別の学校を作っちゃえということですね。

日野田 子供たちはオンラインで学ぶ環境に慣れてくると、どんどん新しくやりたいことが出てくるんです。ただ、もちろんリスクを伴う。だからそういうときはメリットとデメリットの両面を押さえた企画書を出してねと校長メッセージを飛ばしているところです。ただ「やりたい」とだけ言われても学校としては動けないですが、リスクを含めて全部説明してくれたら、きちんと対応すると伝えています。すべての学びは当事者としての生徒が主体ですから。

工藤勇一氏(学校法人堀井学園 横浜創英中学・高等学校 理事・校長)
東京理科大学理学部 1 部応用数学科卒業。山形県公立中学校教員、東京都公立中学校教員、東京都教育委員会、目黒区教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長を経て、2014年4月から2020年3月まで千代田区立麹町中学校 校長を務める。麹町中学校在職中、学校教育を本質から見直し、学校運営に全教職員、生徒・保護者を当事者として巻き込みながら、形骸化した教育活動をスクラップし、再構築した。定期考査や宿題の全廃、固定担任制の廃止、服装頭髪指導の廃止などを行う。
(主な著書)
学校の「当たり前」をやめた。―生徒も教師も変わる!公立名門中学校長の改革―(時事通信社)が10 万部超のベストセラー
日野田直彦氏(武蔵野大学中学校・高等学校 校長兼 武蔵野大学附属千代田高等学院 校長)
帰国子女。同志社国際中高、同志社大学卒。塾ではトップ講師として、学校では私立学校の新規立上げなどに携る。2014年大阪府の公募等校長制度に応じ、大阪府立箕面高等学校の校長に着任(当時全国最年少36歳)。着任3年目には海外トップ大学への進学者を含め、顕著な結果を出す。2018年武蔵野大学中学校・高等学校の校長に着任。定員を大幅に下回る厳しい経営状況であったが、グローバル・イノベーション教育を展開し、2年で定員を充足し、さらなる発展を推し進める。2020年より武蔵野大学附属千代田高等学院の校長を兼任。
(主な著書)
なぜ「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか! ?(IBCパブリッシング)
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