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居場所は学校の外 カタリバや「異能支援」が転機生む

日本の高校生はどこへ(中)

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NIKKEI STYLE

高校生は学校のあり方や周囲の環境をどう受け止め、対応しているのか。日本の高校生が向かう先を考える連載の2回目は、学校の外に「自分の基地」をみつけた生徒の思いにふれる。

◇  ◇  ◇

6歳になれば小学校に入り、大多数が高校まで進学する。学校生活は子どもの日常そのものだ。しかし、その学校になじめなかったら、どうしたらいいのだろう。別の居場所に救われたという2人に会った。

理学療法を学ぶため2020年4月に順天堂大学に進学した男性Aさん。「小児のリハビリを専門にしたい。医師とは異なるアプローチで子どもを助けられる人になりたい」と将来の夢を語るが、過去の学校生活ではつらい思いをした。中学受験で合格を果たし、高校卒業まで過ごした東京都内の私立中高一貫校には最後までなじめなかった。

「いじめ」受け退部、それでも

中学に入学後、吹奏楽部に入った。「裕福な家庭に育ち、小さいときからピアノやバイオリンを習っていて、音楽の素養がある子がたくさんいた」。サックスを担当したが、初心者でもあり、なかなか経験者との差が縮まらない。演奏したい音楽が部の方向性とちょっとずれていたことも、小さなボタンの掛け違いとなった。だんだんいじめに発展し、部活以外の時間でも、いやがらせを受けるようになる。部活は中2の9月でやめた。

それでもサックスの魅力に、はまりつつあった。どこかで演奏したい。ネット検索し、最初にヒットしたのが、東京都文京区が中高生に開放していたスペース「b-lab」(ビーラボ)だった。ちょうど区のイベントで演奏するジャズオーケストラを結成するため、団員の募集をかけていた。

ビーラボは放課後の「居場所」だ。認定NPO法人カタリバ(東京・杉並)が参画して15年4月にオープン。カタリバは、10代の子どもたちの居場所作りやキャリア学習支援などを手がけている。タテ(親子)でもヨコ(同級生)でもないナナメの関係を大切にするのが特徴だ。

Aさんはジャズオーケストラに加わり、ビーラボで公演に向けた練習を始めた。気づけば学校帰りにビーラボに直行し、音楽室でサックスを吹き、職員や友達としゃべるのが日常になっていた。自分でメンバーを集め、その仲間の通う他の高校の文化祭など外のイベントで演奏するようにもなった。

家や学校とは違う居場所を「サードプレイス」と呼ぶが、週5~6日はビーラボに通っていたAさんは「もはやセカンドプレイスかもしれないな」と話す。そこにいた生徒の顔ぶれは、学校の偏差値だけをみても上から下まで様々。「いろんな違う考え方をもった人が集まって、わいわい場を作る。友達の幅が広がりました」。

あのままビーラボに出会わず、部活を続けていたら、と今も時々考える。「学校は絶対に辞めずに卒業してやるって思っていた」ものの「引きこもりになっていたかもしれない」と振り返る。

ビーラボ開設当時から20年春まで館長を務めた白田好彦さんは、Aさんを「意志が強く、やりたいことを主張できる子」と感じていた。「子どもは本当はもっとたくさん人に迷惑をかけていいはずだ。でも、そういう場がないから、チャレンジせずに空気を読む子が増えてしまう」。白田さんの実感だ。

「異才発掘プロジェクトROCKET」という名の活動がある。東京大学先端科学技術研究センターが日本財団と共同で14年にスタートした。ユニークな才能をもちながら不登校などに悩む子どもを、社会につなげていくことめざしている。

「自分みたいな人がたくさん」

プロジェクトの対象となったひとり、山下ひかるさんは16歳。まだ小学生だった4年前に選ばれた。選抜を受けたきっかけは、小学校の担任の先生のすすめだった。

「学校にまったくなじめない子だった」と自分でも思う。1時間目は算数、次は国語と次々に切り替わる日課についていけなかった。注意されるまで、終わった科目の教科書を見続けていたこともある。「教室に立てこもったことも、廊下の突き当たりに自分の席を作って、ずっといたこともある」

才能は豊か。幼いころから好きなピアノで作曲し、キノコ研究に没頭し、マンガを上手に描いた。映像作り、プログラミングと興味は広がり、パソコンで制作したアニメに自作曲までつけた。「マンガは同級生が回し読みしてたし、自分のアニメ作品を家で紹介しようとしたら、同級生が30人くらい来ちゃった」という。仲良しというより「ちょっと変わった子」。そんな扱いだった。

ROCKETは月1回程度、地方の現場リサーチや、ある分野のトップランナーによる講演など、様々な企画を用意している。山下さんは、こうした機会を通して初めて同世代の友達ができたと感じた。「学校だと、ほかのみんなができていることに合わせなきゃと焦っていた。ここには自分みたいな人がたくさんいる。これでいいんだと思えるようになった」

いま最も力を入れているのがドラマ制作。脚本から撮影、劇伴音楽、演出、衣装、ロケ場所の選定や交渉まですべてこなす。ROCKETの仲間が手伝い、出演してくれる。作品は自分のホームページで公開する予定だ。こうしたスキルを生かし、すでに映像制作やウェブ制作の仕事も始めている。

19年春から通信制のN高校に在籍しているが、なかなかカリキュラム通りに学習が進んでいないと明かす。そしてひと言つけ加えた。「高校に普通に行っている子たちに、今でもすごい憧れがあるんです」

ROCKETプロジェクトリーダーの福本理恵さん(東大先端研特任助教)は話す。「居場所は大切。でも、そこが『いつまでも出て行かなくていい場所』になってはだめなんです」。自分が認めてもらえる場所、必要とされる場所をまずみつけ、自分が果たせる役割を知り、社会とつながっていく。ROCKETはそんな場でありたいと福本さんは願っている。

(藤原仁美)

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