グロービスで営業、リーマン後で悪戦苦闘

田中さんは、関西学院大学経済学部を卒業後にアフラックに入社、外資系生保の代理店営業を担った。そして2009年にグロービスに入社、人材教育事業の営業マンとなった。
しかし、リーマン・ショック直後で顧客側には予算がなく、最初は苦戦を強いられた。1年で10㌔近く痩せた。「顧客が何を求めているのか、選ばれる営業マンになるにはどうしたらいいのか」と考えながら、1日2件の営業を愚直に重ねていった。
景気回復と共に「徹底的に顧客に寄り添う営業マン」として実績を上げた。ちょうどその頃、グロービスでは、ビジネススクールの「グロービス経営大学院」の全国展開を始めていた。「経営も学び、起業もしたい」と大阪校の門を叩いた。月曜日から金曜日まではグロービスの営業担当者、金曜の夜から土日はMBAコースの受講生として多忙な日々を過ごした。
我が子の未来のために人材事業を
ここで一緒に学んだのが現在のアイプラグ代表取締役CEOの中野さんらだ。一緒にビジネスプランを考え、何度もビジネスコンテストに挑戦したがいずれも撃沈した。メンバーで試行錯誤しながらも、ふと気づいたことがあった。
田中さんや中野さんらのメンバーは、いずれも結婚して子供が1~2歳だった。「我が子の未来のため、若い人材の可能性、成長を支えるサービスをやろう」と言うことで意見が一致した。
12年4月にアイプラグを立ち上げた。当初は新卒向けのエージェント事業を展開しようとしたが、「需要がない」とわずか20日間で事業を撤退。その時、中野さんが新しい就活サービスのビジネスモデルを考え出した。企業側がサイトに登録された学生のプロフィールなどを見て、興味を持った学生にオファーを送るという就活サービス「OfferBox」だ。ある意味で逆転の発想だった。
これまでは企業側は待っていれば、「リクナビ」や「マイナビ」などのサイトを経由して多くの学生が送り込まれ、その中から選択、採用するのが一般的だった。ただ、一部企業から「本当に欲しい人材が集まらない」という不満の声が上がっていた。