日経MJ

世代を超えたリピーター獲得には使用した際の納得感がカギとなっている。テレビCMや雑誌の広告は打たない。店頭でのサンプルの配布で使用感を確認してもらったり、季節に応じたヘアケアの仕方を伝えたりと「流行は追わず実直に考え方や使い方を伝えてきた」(石井さん)。皮脂が多く臭いが気になる夏には、耳の後ろや後頭部を丁寧に洗い、ブラシを使うと効果的であることなどを伝える。

北アルプスの雪解け水を使用

06年には生産工場のある長野県大町市に庭園「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリングガーデン」を開設した。商品には同市を流れる北アルプスの雪解け水が使われており、周囲の自然環境や四季折々の草花が生い茂る庭園を通じ、ブランドイメージを五感で感じてもらう狙いだ。研究開発施設も兼ねた園内の施設ではオリジナルのエッセンシャルオイルを作る体験や、製造工程を学ぶこともできる。

ブランド発足時と比べると利用者のニーズを受け、仕上がり別だけではなくカラーダメージのケアやくせ毛向けの商品など、悩みに合わせた商品も増えた。アロマエステシリーズはシャンプーとトリートメントの6種類のほか、スキャルプケアやブラシなども展開している。石井さんは「年代によって変わる髪や頭皮の悩みを解決し、今後も一生に寄り添える商品を展開していきたい」と話す。

(渡辺絵理)

ラ・カスタのブランドコンセプトは「植物の生命力と癒し」。シンボルとする、免疫力を高めるとされるハーブ「エキナセア」は自社農園で農薬を使用せず栽培し、エキスはヘアケア商品に配合されている。商品名となっている数字は香りの試作品番号だ。

[日経MJ 2022年6月10日付]