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外から見えなかった運動会の「舞台裏」 ~ママ世代公募校長奮闘記(12) 山口照美

2013/10/18

小学校に着任して最初の運動会は、10月6日(日)。この日程ひとつ取っても、学校がいかに「調整」のもとに成り立っているか思い知った。熱中症対策で、春実施の学校が大阪市で徐々に増えている。しかし、伝統校であったり、地域の「そら、運動会は秋やろ!」という要望であったり、完成度の問題であったり、修学旅行など他の行事とのからみがあったり……。さまざまな要因を踏まえて、我が敷津小学校は今のところ秋開催である。

しかし、年々厳しくなる暑さに対し、数十年前からの「伝統」のせいで子どもを熱中症にさせるわけにはいかない。そこで、9月最終週に実施する校が多い中、1週後にずらして10月の第1日曜日に設定している。これは、体育を専門とする前校長の判断だ。ここにまた、弟妹のいる家庭からはそれぞれの幼稚園・保育園の日程とずらしてほしいという要望がある。

■新しい「学校広報」が必要な時代

行事日程もろもろ、意見をあちこちからもらう。でも、わかってほしい。公立小学校は全員を100%満足させることはできない。いや、民間企業だって塾だって同じだ。全員に合わせるための、解決策は難しい。

ただ、要望と異なると相手に思われるケースで、説得力のある丁寧な説明ができるかどうかは大きい。学校現場は、この説明がやや苦手なのかもしれない。子どもにプリントを渡すだけでは届かない。机やランドセルの中から、「プリント団子」がごろごろ出てくる子がいる。保護者向けのメール、ホームページ、直接の電話など、時代と相手に合ったツールを増やして説明を繰り返す努力、つまり「次世代の学校広報」が必要になっている。在職中に、効果的な仕組みやマニュアルを作るようにしたい。

素晴らしい晴天に恵まれ、大きな事故もケガもなく運営できた。達成感で忘れがちだが、次年度に引き継ぐべき反省点は記憶の確かなうちにまとめる予定だ

さて、運動会前1週間は、ハラハラしながら週間天気予報をチェックしていた。台風が来ると言われる中、降水確率は10%~50%を推移していた。中途半端な天気の時、「やるかやらないか」は最終的に校長判断になる。ベテラン校長は「職員が心配していても、どーんと構えて『え、やるよ? 準備しとこう』と校長がいうと、安心感が広がる。動揺を見せてはいけない」と教えてくださった。それは運動会経験数30回を超すベテランだからこそ、効くセリフだ。新人校長としては、「晴れてくれー」と願うしかない。

当日、快晴100%。

ほっとすると同時に、次の心配が生まれた。「せっかくの10月開催なのに、熱中症が心配!」……実際、この日は暑すぎた。

敷津小学校は人数が少ないので、児童用テントがある。ただし、5、6年生の分は無いのと、彼らは役割が多く座っている場面が少ないため、テントを張らずにいた。保護者アンケートの中に「5、6年もテントを張ってほしい」というものがあったが、大阪市を見渡しても児童席にテントがあること自体が異例だと理解してもらえると助かる。私の判断で、午後からは1~4年生の座席を詰めて5、6年もテントの下に入れた。来年度は、テントを増やすか何らかの方法を考えたい。

私が6年生保護者として参加していたら、学校の事情を知らずに「子どもが焼ける!」と心配になっただろう。中に入って、保護者視点と運営側視点の両方で体験して、自分の「つなぐ役割」を確認した。どちらの思いもわかる。学校は、精いっぱい考えている。正反対の意見を持つ保護者に、挟まれることもある。

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