共働き子育て 祖父母のサポートがうまくいくコツ
【記事のポイントをまとめると】
1.復帰後の祖父母との連携を相談しておく
2.普段から、祖父母との交流を深めておく
3.祖父母のサポートに対して、お礼の仕方を相談する
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育休から職場復帰してから、子どもの病気や残業への対応、毎日の食事作りなど、うまく回らなくなったときに祖父母のサポートがあるとありがたいものです。
共働き家庭にとって、祖父母のサポートは非常に大切
例えば子どもが病気で保育園にも登園できないとき、もちろん有給休暇を利用して、休んで看病に専念してあげたいところですが、責任のある仕事をしていると、いつでも休めるわけではありません。会議中に保育園から呼び出しの電話があったり、出張予定の朝に子どもが熱を出したり。パパとママは困り果ててしまいますね。
そんなとき、祖父母が子どもを見てくれると本当に助かります。やはり、身内は心強いもの。
疎遠にしていると、子どもが祖父母になつかない
ところが、普段祖父母と疎遠にしていて、急に「熱が出たので来てください!」とお願いしても、祖父母は快くサポートする気にならないでしょう。キッチンのどこに何があるか、どんなものを食べさせればよいか、着替えはどこにあるか、ベビーカーはどうやって開くのか…、勝手がわからないとなおさらです。
子どもも、普段祖父母との交流がない場合は、慣れずに嫌がってしまいます。赤ちゃんの頃は抱っこの具合が変わっても嫌がりますし、人見知りが始まると、顔を見ただけで慣れない人だと大泣きしてしまいます。
話せるようになると、「おばーちゃんキライ! 帰って!」など、とんでもないことを言いだすかもしれません。それは、困ります。
もちろん、普段から家族のように接していれば、「はいはい、また○○くんがダダこねているのね」と大きな目で見てくれますが、年に何回かしか合わず、はるばる助けにきてあげたのに「キライ! 帰って!」と言われてしまっては、祖父母もがっかり。快くサポートを引き受けてくれないかもしれません。
休日を利用して、祖父母と子どもの交流を
そこで大切にしたいのは、休み中を利用して、少しずつ祖父母に慣れておくことです。子どもが祖父母に慣れることはもちろん、祖父母が子どもの扱いに慣れてもらうことも重要です。
お七夜から始まり、お宮参り、お食い初め、初節句、初正月、1歳の誕生日など、さまざまなイベントのタイミングで、両家を招いてお祝いをするのもいいでしょう。ときには自宅に泊まってもらい、生活のリズムを見ておいてもらうことも一案。
遠方で会いに行く、会いに来てもらうのが大変な場合は、写真をメールで送ったり、子どもに祖父母の写真を見せたりして、子どもと祖父母がコミュニケーションをとれるように心がけましょう。
・もらった洋服や雑貨を子どもに身につけさせ、写真をメールで送る
・フォトブック(子どもと一緒に写っている写真を多用)を作ってプレゼントする
・定期的に電話をして、子どもと会話させる
(まだ言葉を話せていなくても「声を聞いて笑っています」、子どもがその気でなくても「この前はおじいちゃんに電話したいといって聞かなかったんですよ」と祖父母が喜びそうな子どもの気持ちを代弁して伝える)
・祖父母の誕生日・寝返りをしたとき・ハイハイしたとき・なん語を話し始めたとき・初めて立った時など、子どものイベントや祖父母のイベントを一緒に祝ってもらう。
もしも、おばあちゃん子になってしまったら
祖父母に預けているうちに、「ママよりもおばあちゃんの方になつくようになってしまった」と感じるケースもあります。子どもが何かとおばあちゃんに助けを求めたり、ママが知らない子どもの姿をおばあちゃんがよく知っていたり……。
仕事をしているがゆえに子どもと過ごす時間が少なく、寂しい思いをしたり、ちょっとイライラしてしまったりすることがあるかもしれません。でも、預けているおばあちゃんになついてくれるのは、何よりなこと。
もし、全然なつかなくて「おばあちゃんはイヤだ!」と泣かれたら、ママは困ってしまいますよね。どんなにおばあちゃんになついたとしても、ママとおばあちゃんが違うことは、子どもだってわかっています。いろいろな人に愛される子どもは幸せだと、思いたいものです。
祖父母にサポートしてもらったときのお礼は?
祖父母にサポートをしてもらったときは、お礼をきちんと伝えましょう。何度もお願いしていると、身内ゆえ、ついつい当たり前のような気持ちになってしまいがちなので、要注意です。
祖父母もほかの用事をキャンセルしてサポートに来てくれているかもしれません。何より慣れない育児をするというのは、骨の折れるものです。1日中小さな子どもと向き合うのはパワーが必要です。いくら孫がかわいくても、ケガなどをしないかどうかと責任重大ですし、年を重ねた祖父母にとっては心身ともに疲れるものでしょう。
祖父母にサポートをお願いした場合のお礼については、それぞれの家庭で話し合っておきましょう。1回あたりいくらと金額を決めたり、交通費に上乗せしたりする形で現金を封筒に入れてお渡しするケースや、職場近くのおいしいお菓子を買ってきて手渡しするケース、また後日1カ月分まとめて現金を振り込むケースなど、さまざまです。
・「交通費」として、交通費より多めにお金を渡す
・ポチ袋にお金を入れて「お礼」として渡す
・年2回のボーナス時期に、多めに「お礼」を渡す
・月々定期的に「お礼」を渡し、ボーナスでプラスする
・自由に使っていいファミリー財布を渡しておき、そこから食品などを買ってもらう
・父の日、母の日、誕生日などに多めのプレゼントを渡す
「お礼」を渡す場合は、必ず感謝の気持ちを一筆添えましょう。言葉は何よりうれしいものです。また、遠方から飛行機や新幹線、電車などに乗って来てもらう場合もあります。その場合は、飛行機を予約して支払ったり、実費をきちんと渡すようにしたり。気持ちよくサポートしてもらえるように工夫しましょう。
身内といっても決して甘え過ぎることなく、「サポートしてもらっている、ありがとう」という気持ちが大切です。言葉や行動で、しっかり伝えるようにしたいですね。
人材育成コンサルタント/キャリアアドバイザー。株式会社キャリアン代表取締役。専門は人材育成・組織能力開発やマネジメント・キャリアに関するコンサルティング。メーカー入社後、1989年にキャリアに関する事業を中心とした人材育成子会社を立ち上げ常務、社長、会長。早期よりキャリアアドバイスを普及した経験を活かし、2013年に一人ひとりの生涯キャリアを支援するキャリアンを設立。神奈川県教育委員会委員。内閣府、文部科学省等の委員を歴任。
(ライター 西山美紀)
[日経DUAL2014年3月26日掲載記事を基に再構成]
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