地方出身1年生「大学生の実感ない」 交流に知恵絞る

友達づくりはSNSでスタート

友達を作る機会がないことは地方出身の大きな悩みだ。ただ、まったくできないわけではないようだ。取材した1年生のほとんどから、大学の友達をSNS(交流サイト)で見つけようとする動きが活発だという話を聞いた。SNSのプロフィル欄には大学名・学部名だけでなく第二外国語やクラスまで詳細に書き、「みんな必死で友達を探している」(明治大学1年)という。

吾妻さんもインスタグラムで他学部の同級生とつながり、オンラインで夜に集まっては、不安な心境を語り合う。「コロナがなかったらたぶん出会えてなかった」という偶然のつながりは吾妻さんの今の生活の救いになっている。

熊本県人吉市出身で都内の短大に入学した下田那央さんは、ツイッターの「#春から〇〇大学生」というハッシュタグで同じ大学の同級生を探した。同じように探している人は多く、授業が始まる前にすでに同級生のLINEグループもできた。

5月連休明けから始まったオンライン授業の画面を見たときには少しテンションがあがった。「あの子はこんな顔してたんだ」と、LINEでやり取りをしていた同級生の顔を初めて認識することができたからだ。「優しそうな人ばかりでよかった」と安堵する一方、「まだ誰とも対面で話せていなくて、主にLINEで文章を交換するだけなので、友達関係もまだふわっとしたものです」とも話す。高校時代は家と学校が遠く部活も忙しかった下田さんにとって、学校帰りに友達と寄り道をするのがひそかな憧れ。やはり「早くキャンパスで友達に会いたい」と笑う。

先輩たちが作る支援の輪

緊急事態宣言は解除されてきているが、都内の主要大学は「春学期はオンライン」と決めているところが多い。法政大キャリアデザイン学部の田中研之輔教授は「授業をどのように進めていくかがよく議論されているが、コミュニティとしての大学の機能も深刻な問題。1年生が他の学生とつながる機会を意識して作っていく必要がある」と指摘する。

そんななかで新入生のために先輩学生がSNSなどを活用して助けになろうとする動きが増えている。三重県出身で法政大3年の井土桃華さんもその1人。noteで「履修やサークル選びでわからないことがあったら相談にのります!」と発信。そのリンクを自身のツイッターや、所属する野球サークルのLINEグループに投稿し、1年生からの相談に乗っている。

昭和女子大の4年生が1年生のためにオンライン交流会を実施。コミュニティ活動の目標は、夏までに気軽に相談できる関係性を築くことだという。

昭和女子大学4年の中川花綾さんは4月下旬、同じ学部の友人と一緒に「Connect to SWU」(SWUは昭和女子大の略称)という1年生支援のオンラインコミュニティを4月下旬に立ち上げた。ツイッターで大学生活に役立つ情報を発信するほか、Zoomを使ったオンライン交流会を月1回ほど開催している。初回は10人強の新入生が集まり、「課題がきつい」「おすすめの授業は?」など先輩に不安や質問をぶつけた。

1年生からは好評だったが、反省点もあると中川さんは話す。「『質問どうぞ』と言っても、大学というものに慣れていなくて、何がわからないのかがわからないから、質問もぽんと出てこない。次回の交流会はまず4年生が授業や課外活動などテーマ別に話すことで、大学生活のイメージを広げられたらいいなと思っています」

誰も経験したことのない状況のなか、自ら考えて知恵を絞る先輩の姿を見ることも1年生にとって学びになると期待したい。

(代慶達也、安田亜紀代)

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