イタリアの高級ブランド「ブルガリ」の2019年の新作ウオッチ「オクト フィニッシモ クロノグラフGMT オートマティック」。搭載した新型ムーブメント(駆動装置)は厚さわずか3.3ミリメートルと、自動巻きクロノグラフ(ストップウオッチ機能を搭載した腕時計)として「史上最薄」という。ウオッチ部門のトップ、マネージングディレクターのグイド・テレーニ氏に開発の狙いなどについて聞いた。
――極薄のクロノグラフを開発しました。
「2014年の世界最薄トゥールビヨン(重力による誤差を修正する機構)に始まり、16年の世界最薄ミニッツリピーター(音で時刻を知らせる機構)、17年の世界最薄自動巻きムーブメント、18年の世界最薄自動巻きトゥールビヨンと、5番目の世界最薄記録となります。一部の部品を除き、全てインハウスで製造しています」
「9時位置のボタンを押すと時針が1時間ごとにジャンプして現地時間(ローカルタイム)をセットすることができるGMT(複数の時間帯を表示できる機能)も搭載しています。ペリフェラルローター(駆動装置の外周にリング状のローターを配置、回転する力でゼンマイを巻き上げる仕組み)を採用したこで、従来ならローターで隠れてしまった機構をシースルーバック(透明な裏蓋)から見ることができるのも魅力のひとつです」
「クロノグラフでありながらエレガントで、スポーティーすぎないようにしましたスポーツ時にも着用できますし、ビジネスシーンでも充実した機能を備えたモデルとして使っていただける非常にバランスの取れたモデルだと思います」
――開発で苦労した点は何ですか。
「11年から開発に取り組みました。実現まで多くの苦労がありましたが、構造のコンセプトが非常にバランスが取れたものでしたので、開発自体は割とスムーズに進みました。コンピューター上でパーツを作成して、テストモデルをつくってムーブメントを動かし、いくつものテストを重ねました。構造のコンセプトづくりはうまくいったのですが、テストの段階では非常に苦労しました」
――どのような考え方で時計を開発しているのですか。
「イタリアのデザインをバックグラウンドに持ったブランドとして、たくさんの機能を重ねていくというよりは、何が求められているのか、何がその時計に必要かというところを考えて開発しています。シンプルで美しいことが、ブルガリのコンセプトの一つだと言えるでしょう」
「オクトは非常に幅広い顧客に受け入れられています。何かをひけらかすような人というよりは、むしろ慎み深い人に支持されているように思います」
(聞き手は平片均也)
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