軽やかで快適な乗り心地 スープラ、17年ぶり復活

2019/6/30

アップダウンとカーブに恵まれた道を見つけて、ペースを上げると、シャシーの素性のよさがさらに光った。前後重量配分は、BMWのお家芸ともいえる50:50。車重(1450kg)は3リッターモデルより70kg軽い。これだけのロングノーズプロポーションなのに、運転してはたしかにノーズが軽い。お尻の重さもない。そのため、まなじりを吊り上げるような走りをしなくてもファン・トゥ・ドライブなクルマである。

自分がつくったクルマを買うのは、自動車設計者冥利に尽きるといわれる。試乗後、スープラのシャシーチューニングを担当したYさんに話を聞いた。トヨタのテストドライバーのトップガンが購入を決めたのも、このSZ-Rだという。最もバランスがいいそうだ。

キャラクターにブレはなし

次に乗ったのは「RZ」(690万円)。340psと500Nmを誇る3リッター6気筒ターボ搭載のイメージリーダーである。

0-100km/hは4.3秒。どんな欧州製スーパースポーツと比べても見劣りしない。力があるだけに、動き出した瞬間から「大物感」を漂わせるが、しかし基本的なキャラクターはSZ-Rと大差なく思えた。とくにノーズが重い印象があるわけではない。乗り心地もパワーの犠牲になっていない。

「RZ」は、3グレードのなかで唯一の直6エンジン搭載車となっている。スペックそのものは、「BMW Z4 M40i」のものと変わらない
「スープラRZ」のコックピット周辺部。ステアリングスイッチやランプ類のオンオフスイッチにBMWとの共通点が見てとれる

6気筒も4気筒も、いまのBMWに広く使われているエンジンだが、ZF製8段ATを含めて、パワートレインを制御するコンピューターのソフトはトヨタオリジナルである。

BMWのドライブモードにはノーマル、スポーツのほかにコンフォートやECO PROがあるが、スープラはノーマルとスポーツのみ。切り替えも、SPORTボタンを押してオン、もう一度押すとオフ(ノーマル)、と、いたってシンプルだ。ともいえるし、余計なお金をかけなかったともいえる。左ウインカーのレイアウトを変えなかったのも、コストアップを避けたかったからだという。

最後に乗った「SZ」(490万円)は2リッター4気筒ターボのローチューンモデルである。といっても197psある。車重(1410kg)はSZ-Rより40kg、RZより110kg軽い。17インチのライトウェイト・スープラか!? と思わせたが、RZから乗り換えると、さすがにパワーは少々物足りなかった。

じっくり乗ってみたくなる

一般道のみだった今回のショートインプレッションで、いちばん印象的だったのは、新型スープラにほとんどBMWの匂いがしなかったことである。この日、試乗会場への往復に乗っていったのは、たまたま「BMW X2 M35i」だった。FFプラットフォームだが、2リッターエンジンは基本、スープラSZ-Rと同じである。

そのBMWと比べても、スープラはBMW的というよりむしろトヨタ86的だった。86のさらに先にある「トヨタスポーツカー」に成り得ていたように思う。BMWっぽさを求めていた人にはお生憎さまかもしれないが。

でも、なにしろチョイ乗りだったので、断定的なことは言えない。だから、またじっくり乗ってみたい。またじっくり乗ってみたくなるクルマだったことは間違いない。

スポーツカーという、クルマ界のニッチ中のニッチは、それゆえに、いまや1メーカーの単独開発では成立しがたくなっている。先代80スープラが2002年に打ち切りになったとき、その理由は排ガス対策であると説明された。高性能ターボ車はもうムリ、といって市場を去ったスポーツカーが、はるかにクリーンな排気を求めるいま、ライバル関係を超えた協業で復活した。まずはともあれ、おめでとう、である。

(ライター 下野康史)

■テスト車のデータ
トヨタ・スープラRZ
トヨタ・スープラRZ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4380×1865×1290mm
ホイールベース:2470mm
車重:1520kg
駆動方式:FR
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:340ps(250kW)/5000rpm
最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1600-4500rpm
タイヤ:(前)255/35ZR19 96Y/(後)275/35ZR19 100Y(ミシュラン・パイロットスーパースポーツ)
燃費:12.2km/リッター(WLTCモード)
価格:690万円/テスト車=702万7030円
オプション装備:シート表皮 本革<ブラック>(8万1000円) ※以下、販売店オプション カメラ一体型ドライブレコーダー(2万1125円)/ETC 2.0ユニット(2万4905円)


トヨタ・スープラSZ-R
トヨタ・スープラSZ-R
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4380×1865×1295mm
ホイールベース:2470mm
車重:1450kg
駆動方式:FR
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:258ps(190kW)/5000rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1550-4400rpm
タイヤ:(前)255/40ZR18 95Y/(後)275/40ZR18 99Y(ミシュラン・パイロットスーパースポーツ)
燃費:12.7km/リッター(WLTCモード)
価格:590万円/テスト車=594万6030円
オプション装備:なし ※以下、販売店オプション カメラ一体型ドライブレコーダー(2万1125円)/ETC 2.0ユニット(2万4905円)

トヨタ・スープラSZ
トヨタ・スープラSZ(写真=webCG)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4380×1865×1295mm
ホイールベース:2470mm
車重:1520kg
駆動方式:FR
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:197ps(145kW)/4500rpm
最大トルク:320Nm(32.7kgm)/1450-4200rpm
タイヤ:(前)225/50R17 94W/(後)255/45R17 98W(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5 SSR)※ランフラットタイヤ
燃費:13.1km/リッター(WLTCモード)
価格:490万円/テスト車=497万8430円
オプション装備:ボディーカラー<ライトニングイエロー>(3万2400円) ※以下、販売店オプション カメラ一体型ドライブレコーダー(2万1125円)/ETC 2.0ユニット(2万4905円)

[webCG 2019年6月10日の記事を再構成]

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