「父が営む衣料品店がVANの特約店になっていたことが縁となりました。店ではVANの商品が飛ぶようが売れ、ビルに建て替えるなど、とても立派になっていきました。『すごい』と思ったことを今でも覚えています」
■配属2日目に商品倉庫の担当に
――66年にVANに入社すると、最初の所属は大阪本社の営業部でした。
「ところが配属2日目に商品倉庫に担当変えになりました(笑)。上司が私を見て『君の服装ではお客様の前に出せない』というのです。センスの良いおしゃれな先輩社員が多かった中で、私の着こなしはダサく見えたのでしょう」
「特に革靴はその人の人品骨柄を雄弁に語ります。当時は先がとがった魔法使いのような靴が流行していたのですが、私はそれを誇らしげに履いていました。このため、社内では『魔法使いの靴を履いて入社した男』と有名になってしまいました(笑)」
――6年間の商品倉庫担当のときに、物流システム改革に取り組みます。
「自社倉庫の管理担当でした。当時のアパレル業界には、商品管理という概念がほとんどありませんでした。営業マンが倉庫まで足を運んだりして非効率的でした」
「米国で出版された専門書を参考に、物流改革に取り組みました。その本は、倉庫の目的は商品の保管にあるのではなく、『商品を流通させるために存在する』と指摘していて、色やサイズごとに分ける単品管理の重要性を説いていました」