装いは礼節の一歩 軽視して成功なし 鎌倉シャツ会長メーカーズシャツ鎌倉 会長 貞末良雄氏(4)

2018/9/2

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メーカーズシャツ鎌倉会長 貞末良雄氏
メーカーズシャツ鎌倉会長 貞末良雄氏

「鎌倉シャツ」で知られるメーカーズシャツ鎌倉(神奈川県鎌倉市)が米国ニューヨークに構える直営店は、高級ブランド店が軒を連ねるマディソン街にある。アイビースタイルの本場に乗り込んでの挑戦だが、その評価は高い。メンズファッションの要諦を貞末良雄会長に聞いた。

《連載一覧》
(1)「幻のTPP」が生んだ純国産 鎌倉シャツ、狙うは海外
(2)大切なことは全部、VANで学んだ 鎌倉シャツ会長
(3)倒産しても「我が師匠」 鎌倉シャツ会長のVAN盛衰記




――メンズファッションにおける基本は何でしょうか?

「『ジャストサイズ』の一言に尽きます。どんな素晴らしい衣装でも、借り物では台無しです。特に日本のビジネスマンのスーツやジャケットを観察していると、8割の方々は上着の袖丈が親指が隠れてしまうほど長く、だらしない印象を与えています」

「ヴァンヂャケット(VAN)の創業者、石津謙介先生にこんな逸話があります。写真撮影の際、カメラマンから『ワイシャツのカフスが覗(のぞ)いている』と注意されたというのです。本当は先生が正しい着こなしです。欧州系のブランドものは、日本人にはどうしてもリーチ(腕の長さ)が長すぎますが、平気でいる人々が多いのでカメラマンは誤解していたのでしょう」

――自分のサイズくらい把握しておけと。

「流行は移り変わっても、サイズは絶対に陳腐化しませんからね。ときに、店頭でスーツを試着して鏡の前に立ったとき、上着の後ろを握られたことはありませんか(笑)。だぶだぶの背広でも余った部分をつまんで『ジャストですね』というのは、あまりよろしくない店の常とう手段です。信頼できる店舗や相談できるおしゃれな人を確保するのが基本です」

メーカーズシャツ鎌倉 会長 貞末良雄氏