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「幻のTPP」が生んだ純国産 鎌倉シャツ、狙うは海外

メーカーズシャツ鎌倉 会長 貞末良雄氏(1)

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NIKKEI STYLE

「鎌倉シャツ」で知られるメーカーズシャツ鎌倉(神奈川県鎌倉市)は1993年に創業したシャツ専門店。25周年を迎え、糸から縫製まで全て国内工場で手がけた「純国産」のワイシャツを開発したり、米国で発明されたボタンダウンシャツの当初の姿を復刻したり、そのこだわりを遺憾なく発揮している。米国東部の学生ファッションを発祥とする「アイビー」を日本に紹介したヴァンヂャケット(VAN)でも活躍、アパレル業界で半世紀以上のキャリア持つ同社の貞末良雄会長に、シャツの過去・現在・未来を聞いた。

《連載一覧》
(2)大切なことは全部、VANで学んだ 鎌倉シャツ会長
(3)倒産しても「我が師匠」 鎌倉シャツ会長のVAN盛衰記
(4)装いは礼節の一歩 軽視して成功なし 鎌倉シャツ会長




――衣料品の輸入比率が98%に達するなか、純国産ワイシャツが関心を集めています。主力の価格は1着6900~8900円と、これまでより1~2割高価ですが、足元で品薄となる人気です。

「開発のきっかけは米オバマ政権が進めていた環太平洋経済連携協定(TPP)です。紡績、織布、縫製の3工程を国内で手がければ、米国向け繊維製品にかけられる19.7%の関税がゼロに近くなるはずでした。日本からの輸出が増えると読んだのです。そもそも70年初めに自主規制するまで、日本は繊維製品の輸出大国でした」

■国産シャツ向け素材を2年かけて開発

――米国との沖縄返還交渉で最終局面を迎えていた佐藤栄作内閣による政治決定ですね。当時は「ナワ(沖縄)をイト(繊維産業)で買う」といわれました。結果、国内の紡績工場は、ほとんどが海外に移転しました。

「岡山県総社市にユニチカの工場が残っていました。しかも驚くほど高い技術力を維持し、羽毛布団向けに極細の綿糸を供給していたのです。この技術を応用して、国産シャツ向け素材を2年かけてユニチカと共同開発しました」

「希少性の高い超長綿を原料にしました。肌触りはシルクと変わりません。紡績は兵庫県西脇市の工場で、縫製は福岡県の協力工場に委託しています。経済産業省の『ものづくりサプライチェーン再構築支援事業』にも採択されました」

――衣料品の国内生産数は年間1億点を下回る水準です。

「繊維産業は労働集約的な側面もあるので、地方再生などにも貢献できます。海運の輸送コストも上昇傾向にあり、国内で一貫生産するメリットが見直されてもよいと考えています」

――米国がトランプ政権の誕生でTPP交渉から離脱し、当初のもくろみは外れたものの国産シャツは品質にこだわる国内消費者の需要を開拓しました。

「ぬめり感を帯びた光沢と、肌を滑っていくような上質な着心地が自慢です。これだけ品質の高いワイシャツは、中国などではまだ生産できないでしょう」

「戦後70年以上にわたり、こうした高品質の衣料を生み出せる職人を常に確保してきたことが日本の強みです。実際、欧州の高級ブランドも日本の縫製工場に強い関心を持っていると聞きます」

■日本製シャツを受け入れた米国のアイビー愛好者

「70年代以降、日本の繊維工業は生産拠点を海外に移転してきましたが、技術的には世界のトップレベルを維持していることを再確認できました、日本のシャツを世界に広めていくことは十分可能です」

「実際、米国の消費者は日本製シャツを受け入れてくれています。ボタンダウンに象徴されるアイビースタイルが基本です。2012年に開いたニューヨークの直営店はアイビー愛好者を中心に販売を増やしています」

《連載一覧》
(2)大切なことは全部、VANで学んだ 鎌倉シャツ会長
(3)倒産しても「我が師匠」 鎌倉シャツ会長のVAN盛衰記
(4)装いは礼節の一歩 軽視して成功なし 鎌倉シャツ会長

――日本のファッション史に詳しいデービッド・マークス氏は著書「AMETORA(アメトラ)」のなかで、「アメリカ的な衣類の伝統については、多くの面で、日本の方が米国よりもはるかに多くを受け継いでいる」と論評しています。

「欧米でベストセラーとなった「THE IVY LOOK」の著者、グレアム・マーシュ氏にはニューヨーク直営店の推薦状を書いてもらいました。実際に当社のボタンダウンを確認して、高く評価してくれてのことです」

「ニューヨークには15年に2店目を開店しました。18年4月には現地に倉庫を新設して、これまで日本から空輸で2週間ほどかかっていたのを、東海岸の近い場所なら最短で翌日に配送できるようにしました」

――08年のリーマン・ショック以降、米国では金ピカ趣味のファッションから、アイビーに関心が戻ってきたといいます。マークス氏によれば、米国の若者たちがお手本にしたのは、日本だったといいます。

「アイビーの見直しとともに顧客の要望が広がってきているのも感じます。8月末にはボタンダウンの原型タイプを販売します」

■今なお生き続けるVANの技術

――ボタンダウンはブルックスブラザーズが1890年ごろに発売したといいます。いわば元祖です。

「現在のシャツは、襟や袖口などに芯地(芯となる厚めの生地)をあてがい、シャツ生地の形崩れを防いでいます。しかし、昔の型は芯地を入れないため、襟のロール部分がエレガントに仕上がります」

「米国では昔の技術が伝承されていないといわれています。ところが、日本でかつてヴァンヂャケットのシャツを縫製していた我々の委託先の福島県の工場には、その技術を再現するスタッフがいまだ現役で活躍しているのです」

(聞き手は松本治人)

貞末良雄氏
 1940年山口県生まれ。64年千葉工業大学電気工学科卒。66年ヴァンヂャケット入社。統括部長として営業、販売促進、物流、商品企画を担当。78年同社倒産により退社。81年ヴィレジャージャパン設立に参画。92年シーン専務営業本部長。93年にメーカーズシャツ鎌倉を創業。現在国内26店、海外3店を運営。

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(3)倒産しても「我が師匠」 鎌倉シャツ会長のVAN盛衰記
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