フェラーリの新4人乗りGT 往年の名車を継承

日経トレンディネット

フェラーリ4WD「GTC4ルッソ」
フェラーリ4WD「GTC4ルッソ」
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フェラーリ・ジャパンはフェラーリの新型「GTC4Lusso(GTC4ルッソ)」を、2016年5月10日に日本で初公開した。価格は3470万円。この新型モデルが世界初公開されたのは2016年3月開催の「ジュネーブ国際モーターショー」で、日本が極東エリアでは初めての展示となった。

GTC4ルッソはフロントにV型12気筒エンジンを搭載した4人乗りのGT(Gran Turismo)だ。ベースとなったのは2011年に誕生した「FF」だ。2011年に誕生したFFは、Ferrari Fourの頭文字をとったネーミングで、フェラーリ初の4WDであるシューティングブレーク(ワゴン)スタイルが与えられていた。後続モデルとなるGTC4ルッソはその特徴を受け継ぎながらも、イタリア語でぜいたくや豪華を意味する“Lusso”の名が示すようにラグジュアリーさを強調し大幅に改良している。

FFの6.2L V型12気筒DOHCエンジンを改良

パワーユニットはFFと同じく6.2L V型12気筒DOHCエンジンを搭載するが、最高出力は486kW/8000rpmから690ps/8000rpmに、最大トルクは683Nm(69.6kgm)/6000rpmから697Nm(71.1kgm)/5750rpmまでアップしている。ノンターボながら、1750rpmという低回転から最大トルクの80%を発揮するため、低速域からの力強い加速が味わえるといい、最高速度は335km/h、0-100km/hの加速に要する時間は3.4秒とされる。

4WDシステムは四輪駆動に加え、後輪操舵機能を備えた「4RM-S(四輪駆動、四輪操舵)」システムに進化。これにより滑りやすい路面でのコントロール性が向上し、コンディションの良い路面では、より鋭く走れるようになっているという。


デザインはFFから90%変わった


スポーツラグジュアリーを追求したというデザインは、インテリアを再設計。車両全体では90%をリニューアルしているという。

エクステリアはFFに似た印象ではあるものの、比べてみるとヘッドライトはより鋭さを増し、リアコンビネーションランプが2灯式から4灯式へ、さらに各部のキャラクターラインやエアインテークの形状が異なるなど大きく手が加えられている。全体の印象としては、FFよりも攻撃的なスタイルに進化したようだ。



FFが長年フェラーリモデルを手掛けてきたピニンファリーナ社のデザインだったのに対し、GTC4ルッソは社内でデザインを行っている。コンセプトの違いも当然あるが、社内デザインのモデルは、好戦的なイメージがより強いように感じられる。これはGTC4ルッソも同様だ。フェラーリファンにとっては、フェラーリ色が強まったと理解できる。一方で、数々の名車を生み出したエレガントでスポーティーなピニンファリーナデザインを好むファンが多いのも確か。この点は賛否が分かれるところだ。

機能面ではエアバックを小型化したステアリングホイールや、タッチスクリーン式の10.25インチディスプレイ、助手席にも多彩な機能を備えたデュアルコクピット・アーキテクチャーなどの採用が大きな進化といえるだろう。


往年の名車を継承


GTC4ルッソはFFの後継モデルであるが、フェラーリは伝統的に送り出されている4シーターGTのポジションであることを強調したい狙いがある。このため、往年の名車として知られる「250Berlinetta Lusso」(1963年)や「330GTC」(1966年)から受け継いだ名称が与えられている。会場前にはその伝統を示すべく、世界的にも貴重なこれら2台が展示された。先代に当たるFFは革新的なモデルだったがゆえに、フェラーリが送り出してきた伝統的な4シーターGTとしては受け入れられず、少々異端な存在にとらえられていた面がある。だからこそ新型には伝統の名前を授け、存在感をアピールする。

とはいえラグジュアリーさを追求するだけでなく、走行性能もレベルアップしている。スポーティーさや万能性を売りに、若い顧客獲得もGTC4ルッソの使命なのだろう。

(文・写真 大音安弘)

[日経トレンディネット 2016年6月7日付の記事を再構成]

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