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SUVなのに上品なデザイン 新世代ボルボXC90

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日経トレンディネット

2016年4月4日、ボルボカーズが3月のグローバルでの新車販売台数を公表した。総販売台数は前年同月比は11.5%増の5万2279台で、第一四半期で見ると11.9%増加したという。この成長の大きな要因になっているのが、最も販売数の多い「XC60」と、12年ぶりにフルモデルチェンジし1月に発売した2代目「XC90」だ。

新型XC90は、スウェーデンの企業としては史上最大級となる約110億ドル(約1兆3000億円)を投じて開発された次世代モデルの第一弾。既に展開済みの同社の新世代パワートレイン「Drive-E」に加え、新世代プラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー(SPA)」などを採用したオールニューモデルだ。

4WD仕様、7人乗りの大型SUVながら、全車に2.0L直列4気筒エンジンのみを搭載。価格は774万~1009万円となる。最上級グレードの「T8 Twin Engine AWD Inscription」はプラグインハイブリッド(PHEV)で、環境志向の現代的なSUVとしても存在感を示す。

今回はラグジュアリーグレード「XC90 T6 Inscription(インスクリプション)」の試乗から、XC90好調の理由を探る。

北国らしく手袋のまま使えるタッチパネル

新型XC90は、ボルボのフラッグシップSUVとして、グリルやキャラクターラインなどに今どきのボルボらしいアイコンをしっかりと取り入れながら、先代より上品さと高級感を増している。特にインテリアは、人気の北欧デザインの力を感じられるものとなっており、シンプルなデザインを基本としながらも質感が高い。また雪国スウェーデンらしく、扱いやすさを重視したインターフェイスも特徴だ。

また独自のインフォテイメントシステム「SENSUS(センサス)」も進化。12.3インチのカラーディスプレーメーターパネルと9インチのタッチスクリーン式センターディスプレーを両方装備する。操作ボタンが大幅に減り、タブレット端末を操作するようにカーナビや車両設定ができる。表示はごくシンプルだが、その分、非常に分かりやすい。スマートフォンユーザーならすぐに使いこなせるだろう。またタッチパネルを赤外線方式にし、手袋をしたままでも操作ができるのは、北国育ちのブランド、ボルボらしい心遣いだ。

最高出力320ps、最大トルクは40.8kgm、燃費は11.7km/L

パワーユニットは、2.0L直列4気筒エンジンのみだが、より大きな出力を可能にする過給機を搭載しているので、大型SUVとしてのパワーも十分だ。

特に、ターボチャージャー、スーパーチャージャーと、過給機を2つ搭載したツインチャージャーエンジンのT6の場合、スーパーチャージャーがターボよりも低回転から大きなトルクを発生するので、排気量を小さくしても低速域から十分な性能を発揮する。

またカタログに示される最高出力320ps、最大トルクは40.8kgmという馬力は、4.0Lエンジンを超える性能だ。

実際に、市街地から高速まで試乗したところ、発進時はもちろん加速時まで、パワーに不満を感じることは一切なかった。それどころか、予想を上回る加速の良さに驚いたほどだ。搭載されるT6エンジンは、既にXC60にも搭載されているが、マッチングはXC90のほうがよく、その性能を余すことなく、引き出せているように感じられた。また燃料消費率も11.7km/L(JC08モード)と実用的なのも魅力といえる。全体的な軽量化で3列シートの7人乗りモデルながら、車重が2100kg程に収まっていることも関係しているだろう。

さらにXC90が見た目から想像するよりずっと、軽快な走りを得意とするのは、ダウンサイジングを前提にプラットフォームからパワートレインまで一新することで、優れたクルマ造りを目指した成果といえる。もちろん、大型車らしい快適性をしっかりと備えているので、同乗者も満足できるだろう。

ホテルに乗りつけても似合う

さすが、気合を入れて資金を投じた新世代モデル。クルマ自体の完成度はかなり高い。また評判の高い安全面の装備は、先進安全支援システムに加え、世界初の安全機構を二つも盛り込んできた。このあたりもボルボとしてのプライドが表れているのだろう。

性能以上に注目されそうなデザインは、北欧スタイルの良さが凝縮されており、ファッション感覚の敏感な人にも響きそうだ。またレザーやウッドも素材の良さを活かした温かみが感じられる仕上げで、女性にも気に入られそうである。

従来のSUVは、頑丈さや力強さを意識させるデザインのクルマが多かったが、XC90は、ホテルに乗りつけても似合う上品さがある。オンオフ、フォーマルからレジャーまでオールマイティーに使えることが、新時代の高級車に求められるものなのかもしれない。

(文・写真 大音安弘)

[日経トレンディネット 2016年4月25日付の記事を再構成]

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